2023年8月8日火曜日

鉄のキルキット


トルコの村の鍛冶屋さんがつくった、鉄製キルキットです。
キルキットとは、垂直に立てた織機でキリムや絨毯を織るとき、緯糸(よこいと)をたたいて締める道具です。
このキルキットは歯が詰んでいるので、キリム用に使われたものと思われます。


長方形の薄い鉄板を16枚、両脇用のちょっと厚めの鉄板を2枚、約半分の長さの鉄板を16枚、柄にするためにL字型の鉄板を1枚用意し、長い鉄板と短い鉄板を交互に挟み、真ん中にはL字型の鉄板を挟んで留めてつくってあります。
鉄板にはあらかじめ2つずつの穴をあけておき、そろえた鉄板に2本の頭のついた鉄棒を通して、鉄棒の反対側も頭をつけて固定しています。


L字型の鉄板には、両側から木を当てて留め、持ち手としています。


鋳物ではないので村の鍛冶屋さんで簡単につくれたというわけです。
激しく打ちつけるようにして使うので、木のキルキットより長持ちする鉄のキルキットが出回ると、織り手たちに好んで受け入れられたものと思われます。
このつくり方だと、織る絨毯やキリムの経糸(たていと)の間隔によって、また織り手によって、鍛冶屋さんが歯の間隔を容易に変えられたことでしょう。



今では、キリムを織る人たちがすっかり減ってしまったので、キルキットも無用になってしまいました。
下に敷いてみたキリムは、トルコのものではなく、ヨルダンに住むベドウィンの織ったものです。








 

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