2024年4月1日月曜日

携帯用枕と猫


エチオピア南部に住む、ソマリやアファールの人々が使う枕があります。
遊牧民の男たちにとって、複雑に結い上げた髪を壊さないように首にあてがって使う枕は必需品で、この枕さえ携えれば、どこにでも行くことができました。

エチオピアからエリトリアにかけて広がるダナキル砂漠には、各地に湖塩があり、アファール人は、古来、塩の採掘や運搬、交易にも従事してきました。羊、山羊、ラクダなどを追う遊牧民だけでなく、塩にかかわってきたアファール人にとっても木彫りの枕は必需品、何日もかけてラクダで塩を市場まで運ぶ生活を親から子へと、何世紀にもわたって送ってきました。
しかし近年、エチオピアの草原や砂漠にも、開発の波が及ぶようになりました。外資によるプランテーションが進んで遊牧は難しくなり、塩の輸送もトラックでなされるようになりました。そのせいで生計を失う先住民たちが増えているようで、その影響か、アフリカのものを扱っているネットストアーで木彫りの枕を見かけることが多くなりました。


さて我が家の玄関に飾っている枕たち、何故か直しても直しても猫たちにひっくり返されてしまいます。
枕の間に入り込み、身体を押しつけ、ときにはガチャンと床に落としてしまいます。


爪とぎの段ボールについていたマタタビ粉には何も反応しなかった猫たち、枕に残る匂いに心惹かれるようです。ソマリやアファールの人たちは、枕に乳脂を丹念に塗り込み、大切に使ってきました。


さて、猫たちは、成長するにつれて、一時お互いに微妙な関係になったりしましたが、その時期も過ぎて、それぞれ我が道を行きながら、仲良しのときは仲良くしています。


お風呂好きは相変わらず、まだタイルが冷たい季節には、お湯や水がないときも猫用に蓋を1つは残しておくことが欠かせません。

追記:

ソマリが背が高くてかっこいいのは知っているのですが、アファールがどんな人かと検索してみたら写真がありました。


かっこいい!
後ろ髪がどうなっているか見えませんが、このくらいの髪型なら、そう高い枕をしなくても寝られそうです。





 

2 件のコメント:

rei さんのコメント...

猫たちの間の微妙な関係、更にそれも変化するとは面白いです。枕を使っていた人の匂いに反応するのも面白い。猫観察の面白さ、まだまだありそうです。

高枕を使うと脳卒中の原因になる脊柱の病気の発生率が高まるとの研究結果の記事を読んだことがあります。殿様枕症候群、高枕短命 なども。アフリカの人たちも、この枕で命を縮めた?

さんのコメント...

reiさん
殿様枕症候群、知りませんでした。
西式健康法では、首に当てて寝る木枕を使います。円筒を縦に二つに割った形で、西式健康法をやってらした方は皆さん、枕のおかげだけではないと思いますが、ご長命で長患いもしません。私は、硬い木枕を夜使うのは無理、有酸素体操するときだけ使っていますが、高さは7㎝です。
エチオピアの枕を測ってみると、11㎝から14㎝でした。これでは頭も曲がってしまうので、確かに血行は悪くなりそうですね。そこで、今、彼らがどんな髪型をしているのか調べてみたら、なんだ、ただのアフロヘアじゃないの! 髪型の変化も枕を手放す理由の一つになっているのかもしれません。
なら、遠慮しないでじゃんじゃん買っちゃえ!って、もう枕は要りませんが(笑)。