夫は、無類のうっかりものです。
気持ちはいつも、前へ前へ向かい、今現在取っている行動は頭から抜け落ち、大事なお財布、補聴器、眼鏡などなど、無意識にどこにでも置いてしまうので、毎日のように見えなくなって、
「ない、ない」
と騒ぎたてます。
もっとも、眼鏡はずいぶん前から100円眼鏡だけにして、そこいらじゅうに置いてあるので、ストレスは軽減されました。
もちろん、家の中で失くすだけではありません。外に行っても失くします。眼鏡など、行った先々に置いてきます。
お財布もしょっちゅう無くして、年に3回ほどは真剣に大騒ぎします。
数年前、鳥取から車で帰っている途中、大津のサービスエリアでお財布がないと騒ぎだしたときは、いったいどうなるかと、気が沈みました。あちこち電話してもらったりしましたが、念のためと私がもう一度車の中を見たら、座席とドアの間に落ちているのを見つけ、ほっとしたものでした。
2017年と古いデータになりますが、全国で落とし物として届けられた現金は177億円に上っているそうです。そして、その半分くらいは持ち主の手に戻っているようです。
でも、この中に夫の落としたお金は含まれていません。たいていは、親切な方の手で、直接連絡をいただいて、戻ってきます。
昨日も、農産物直売所から電話がかかってきました。夫の名前を訊かれたので、私は直感しました。
「もしかして、夫がお財布を落としていたのですか?」
ずばり、そうでした。
「ありがとうございます。帰ってきたらすぐに取りに行かせますから」
と、私は感謝しながら電話を切りました。
それにしても、夫はお財布を、何度拾っていただいたことでしょう。お金だけでなく、運転免許証や銀行カードも入っています。
一度など、車のボンネットの上に置いたまま走り、国道に落としていて拾われたこともありました。交通量の多い国道で拾うなんて、拾う方も命がけのような気がしますが、そのときも警察を通さず、拾った方から直接電話があって送っていただき、無事手元に戻ってきました。
大事なものを失くすだけではありません。
お風呂の栓をしないでお湯を張る、夜中に牛乳を飲んで冷蔵庫の扉を閉め忘れる、井戸水を飲んで、蛇口を閉めないで出しっぱなしにして井戸を濁してしまう。
夫の日常生活のうっかりは目に余りますが、はなから、気をつけようとする姿勢がないのです。
でも、それでここまでやってこられたのですから、良しとする以外ないのですが。










