2020年11月2日月曜日

韓国の張り子


骨董市で、韓国の張り子を、10点ほど並べている店がありました。
韓国(朝鮮?)の張り子を見たのは、初めてでした。
韓国にはオンドルの部屋の壁に貼ったり、織りものの筬(おさ)の縁に貼ったりする、質の良い手漉き紙(韓紙)があります。そして、韓国にほど近い日本、中国、タイ、ビルマなどには張り子人形があるので、韓国に張り子があって何の不思議もないのですが、伝統的に「ひとがた」はあっても、韓国では人形をおもちゃとして好んでは来なかったという歴史があるので、張り子の人形があるなんて思ってもみませんでした。

2つとも高さ6センチほど、これよりちょっと大きいのも、小さいのもありましたが、どれも形は似たもの、単純な起き上がりこぼしでした。2つしか買いませんでしたが、もっと買った方が、風俗はよくわかったのに、と後から思ったことでした。2つで、500円だったし、骨董屋さんは、
「全部買うかい?」
と訊いてくれたのに...。



左はチマチョゴリの女性ですが、右は坊主頭で数珠を首にかけているので、お坊さまではないかと思っています。


朝鮮(韓国)には、結婚式のとき新郎が木彫りの家鴨を新婦に贈るとか、葬式の喪輿を木彫りの人形で飾るなど、素晴らしい木彫り文化がありました。それゆえ、日本の統治以後、お土産ものとして(強制されたのかもしれないけど)農民美術人形をつくるのは、いとも簡単だったと想像できますが、いったい張り子はいつごろ、どこでつくられたものでしょう?
韓国の郷土玩具や古いおもちゃについては、私は何も知識がありません。


錘の部分、は、どれもきれいに丸くつくってあります。もっと丸いのもありました。

祐生コレクション

写真は、画家であり、郷土玩具収集家でもあった板祐生(いたゆうせい、1889-1956)が、戦前に集めた朝鮮(韓国)の郷土玩具ですが、張り子らしいものはありません。
それにこれらは、郷土玩具と言うより、お土産ものに見えます。



また、こんな本があったらしい。韓国のツイッターに紹介されていたのですが、本を売っているかと探しても、見つかりませんでした。
ツイッターには、
「統治時代に、日本の民族学者が収集した珍しい風俗を民藝運動と連動し、玩具として制作し、京城土産として売られました。戦後、全て廃絶した朝鮮の郷土玩具を本にまとめました」
との説明がありましたが、書いてあること以上の事実がないなら、朝鮮にはいわゆる郷土玩具はなかったことになるし、いずれにしても、すべて廃絶してしまったのです。


私が、夫の仕事に同行して初めて韓国に行ったのは1981年でしたが、人形と言えば、お土産ものとして売られているこの手の人形しか、見当たりませんでした。


そして今は、韓国ではこんな関節球体人形というのが多くつくられているようです。
暮らしに密着した人形の姿が、なかなか見えて来ません。






9 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

5枚目の中央「天下大将軍立像は渡来人が多かった埼玉に、
戦後処分したかなー  懐かしいです。

hiyoco さんのコメント...

neoの写真は誰かが作ったフェイクなので実在しません。小学館が図鑑neoメーカーというシステムで「自分で好きな図鑑の表紙を作って下さい」と公式でやっていて、それで作った偽図鑑です。

さんのコメント...

昭ちゃん
わぁ、知らなかった!韓国・朝鮮の魔除けの境界標で、日本で言えば道祖神みたいなものなのですね。
私は、意味を気にしないで、形しか見ていませんでした。そして、将軍標というものは、日本にも高麗神社あたりに固まってあるのですね。

さんのコメント...

hiyocoさん
えぇぇぇ、フェイク!
それじゃぁいくら探しても見つからないはずですね(笑)。
まぁそれに、もし実際にあったとしても、内容は農民美術人形とか磁器人形、あとトラのいろいろとか、なんとなく想像できるので、そう残念でもありませんが(負け惜しみ、笑)。
でも、統治時代のお土産ものではない、伝統的なおもちゃや縁起ものがあれば、今でも見たいです。でんでん太鼓とか、独楽くらいだったのかなぁ。けっこう北から南まで歩いたけれど、人形の匂いはしませんでした(笑)。

昭ちゃん さんのコメント...

塞の神ですね、

rei さんのコメント...

韓国の民芸的な土産と言うと、翁と媼の木彫の面を思い出します。仮面劇の主人公の様ですが、どの様な物語なのかを韓国人に訊ねた事があります。結局、お互いの拙い英語のやりとりで良く分からず仕舞いでした。

改めてネットで調べてみましたが、仮面劇のストーリーは色々で、翁と媼は男性と女性の単なる象徴なのかもしれません。

昭ちゃん さんのコメント...

割り込んでごめんなさい
仮面劇は風刺劇で面白いです。
こう言う各地を周るさすらいの芸も絶えたでしょー
モーラムでも今風に変わりました。
各家を周る旅芸人のあとを子供の頃追いかけて、、、。

さんのコメント...

昭ちゃん
塞ノ神とか道祖神は、どちらかと言えば、関東から東北中心なんでしょうかね。
私は、身については知らなかったです。

さんのコメント...

reiさん
そういえば、ちょっととぼけたようなのとかほっぺが赤いのとか、いろいろなお面がありますね。木彫り文化の厚い韓国ならです。木のお面だけでなく、韓紙のお面もありました。
私は何でも集める癖があるのですが、お面には手を出していません(笑)。きっとどう飾ったらいいかわからないからでしょう。お面は私の頭からはすっぽり抜けていました。
農楽は素晴らしいのを見たことがありますが、仮面劇は見たことがありません。その昔、農村を練り歩いていたのでしょうね。
現在、韓国の都市化はすごいもので、人口の60%は集合住宅に住んでいるそうです。ちなみに日本は20%くらいです。何もかも失われてしまったことでしょう。他人のことは言えませんが。