2023年10月10日火曜日

ガザ


10月7日、ガザを実効支配しているハマス(イスラム主義を掲げる、対イスラエル強硬派)がイスラエルにロケット弾を撃ち込んだことから、パレスチナとイスラエルの間に深刻な衝突が起こっています。アメリカ、国連などはいち早くイスラエル支持を表明しました。
孤立するガザ、パレスチナ人。
心が痛みますが、何をすることもできません。

以下、長くガザで活動している日本のNGO、「パレスチナ子どもキャンペーン」のホームページの『ガザ地区を知ろう』からの転載です。

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地中海に面したガザは、古代からアフリカとアジアをつなぐ交易の中継地として多くの人が行き交い、アレキサンダー大王やナポレオンも足を踏み入れた歴史的な場所です。長くオスマントルコの支配下にありましたが、 第一次世界大戦後はイギリスの委任統治領になり、1948年には第一次中東戦争とイスラエルの建国の結果、エジプトの管理下になりました。
この時、多数のパレスチナ難民が流入し、ガザの人口は5倍になりました。
ガザは、1967年の第三次中東戦争によってイスラエルに軍事占領され、以来、インフラや産業が破壊されたまま整備されず、人口の多い貧しい地域になっていきました。肥沃な土地はイスラエルの入植地として没収されたこともあり、 ガザの人々は低賃金労働者としてイスラエルに出稼ぎに行くようになりました。 やがて、イスラエルは東南アジアからの出稼ぎ労働者を受け入れるようになり、パレスチナ人は職を失い、しかも狭いガザから出ることもできない状況に置かれました。
その結果、ガザで、「インティファーダ(イスラエルへの抗議運動)」が1987年に始まったのは自然なことでした。

ガザとはどんなところか?

1993年にイスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)の間で結ばれた「オスロ合意」に基づいて、翌年ガザ地区は、ヨルダン川西岸地区と共に「パレスチナ自治区」になりました。しかし、2007年以来、ガザはイスラエルに軍事封鎖されています。

ガザの現状


長さ50キロメートル、幅5~8キロメートルの狭くて細長いガザは、種子島ほどの面積に200万人が住む、世界で最も人口密度が高い場所の一つです。人口の約45%は14歳以下の子どもで、7割は難民となって流入した人々です。
2005年までは、イスラエルの入植地があり、イスラエル軍が常駐していました。 同年、ガザからイスラエル入植者と軍が撤退しましたが、周囲からイスラエル軍に包囲され、人や物の出入りが極端に制限されています。その結果、燃料や食料、日用品、医療品などが慢性的に欠乏し、経済や生産活動が停滞して、 人々は国連や支援団体からの援助物資で命をつないでいます。

また2008年以降、ほぼ2年おきにイスラエル軍からの激しい軍事攻撃が行われ、多数の市民が犠牲になり、大規模な破壊がガザの状況をますます悪化させています。

どうしてこうなったのかーガザの近代史

イスラエルの撤退と封鎖

2005年、イスラエルはガザ内部から入植者と軍を撤退させ、事実上ガザを放棄しました。 しかしその代わりに周囲を封鎖、人や物の出入りを大きく制限しました。
2006年のパレスチナ自治政府の選挙では、それまでのPLO (パレスチナ解放機構、オスロ合意でイスラエルとの対話路線を選んだ「ファタハ」が中心で、民族主義的で非宗教的)ではなく、ハマスが多数派となりました。 ハマスがファタハをガザから追放し、事実上ガザを支配するようになると、イスラエルはガザの封鎖を強化し、2008年には食料や燃料など生存に必要な物資も最低限しか搬入されなくなりました。

繰り返される攻撃と破壊

2008年、2009年、2012年、2014年、そして2021年と、イスラエル軍は逃げ場のないガザに大規模軍事侵攻を行いました。2014年の軍事侵攻では、過去2回をはるかにしのぐ激しい攻撃が、空、陸から51日間にわたって行われ、死者2,251人(うち70%が女性や子どもを含む民間人)、負傷者約11,000人、全壊・半壊家屋18,000戸という大きな被害がもたらされました。
2021年5月には11日間にわたって空爆が続き、民間人や子どもを含む約2,500人が死傷しました。
停戦後の現在も封鎖は続き、破壊された町の復興は遅々として進んでいません。 人々は、 いつまた繰り返されるかわからない戦争の恐怖を抱えながら生活しています。

ガザが抱える問題


ガザが抱える問題には封鎖に起因するものが多く、イスラエルの封鎖政策は、 国際法で禁じられている「集団懲罰」であると国連や人権団体などから強い批判を受けています。 しかし国際社会は、この状態に対して効果のある措置をとることができていません。

燃料・物資の不足

重油やガソリンなどの燃料が入らないため発電所が十分に稼働できず、 1日10時間以上の停電が10年近く続いています(2014年のガザ戦争で破壊された発電所は、現在も完全には復旧していません)。その結果、上下水道、学校や病院の機能も一時的な停止を余儀なくされます。
燃料が枯渇すると物流や工場などの産業も停止し、工業・農業・サービス業などは致命的なダメージを負います。 家庭用のプロパンガスも不足しています。また、鉄材や木材などの建設資材や一部の医療器具・薬品などは、軍事転用を懸念され、特に厳しく輸入を制限されています。

深刻な水問題

年率3%という人口の急増により、ガザでは近い将来、水がなくなると予測されています。地下水は過剰な汲み上げにより、海水が地下水脈に侵入し、塩分濃度の高い水道水は飲むことができず、飲料水は購入せざるを得ません。また、下水処理のインフラが整わないため、生活排水が海に垂れ流され、海の汚染で漁獲量が減っています。

高い失業率

経済が停滞したガザでは、現在、若者の失業率が67.4%を超えると言われています。 度重なる戦争で工場や農地は破壊され、復興も思うように進められません。 漁業も操業範囲が制限されており、その海域は徐々に狭められています。

若者の自殺の増加

将来の希望を描けず、生命を賭してガザからの脱出を試みる若者、地中海を渡ろうとする若者が増えています。 また、以前は宗教上の理由もあってほとんど見られなかった自殺も近年は増加しています。

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肥沃な土地で水が豊かだったためにイスラエルが欲しがったガザ。
今では水まで不足しているガザ。









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