2023年10月18日水曜日

無念

まさか、まさか。
織物の先生Kさんこと近藤由巳さんが、逝ってしまいました。
書かないで済ませたいけれど、これから織物教室の記事は書けなくなるわけだし、触れないわけにはいきません。


写真は10月10日に織物教室に行く途中、コスモス畑から雨上がりの筑波山をのぞんだところです。
この日、近藤さんはちょっと身体がきつそうでした。でも、体調がすぐれないので病院に行き、胃カメラを飲んだら逆流性食道炎と言われた、もっと重い病気ではなかったと、嬉しそうで、生きる気満々でした。
近藤さんは痩せていて、血圧が低くて、朝はいつもだるそうだから、この日が特別とは思わないですごしていたら、そのうち元気も出てきて、生徒のKさんが横浜で開かれたスピニングパーティーで仕入れてきた、素敵な色つきの原毛を見て、
「もう100グラムあったら素敵なマフラーができるわね。連絡してみなさいよ」
としり込みしているKさんにはっぱをかけ、青森にある牧場に電話がつながったら、Kさんに替わって電話を取り、説明したりしていました。
何もおいしくなくなったと言っていたのに、お昼のお弁当も完食でした。
じゃまた再来週ねと言って別れたのに、12日の朝倒れて、病院に運ばれたものの昏睡状態が続き、14日の午前中に亡くなられました。

近藤さんは、探求心が強く努力の人、
「いったい何年かかったんだ?」
とため息が出るくらい膨大な数の、染めや織りのサンプルをつくって、見やすいファイルにしていらっしゃいました。染めのことも織りのことも、訊けばなんでもなんでも答えてくれる頼もしい師でしたが、知らないことを「知らない」と言うことにも素直でした。
知らないことにぶち当たると、むしろ嬉しそうで、すぐに分厚い本やレポートを引っ張り出してきて、丹念に調べます。そして回答が見つかったら、
「見つかったわよ」
と、その答えがちょっと長くても、嬉々としてみんなに読み聞かせてくれました。

授業中は、ほぼ織物の話をしていましたが、みんなでお弁当を囲む昼休みはいつも長く、いろいろな話をしました。食の話、植物の話、動物の話、ラジオの話(子供科学電話相談室や、荻上チキのセッションがお気に入りでした)、宇宙の話、原子力の話、国際問題の話、政治の話などなど、いつも話がはずみ、近藤さんの洞察力や信念が、端々にうかがい知れました。
日本人の大半は、ものごとを日本中心に考えてしまうし、同調圧力に押しつぶされていますが、近藤さんはそんなこととは無縁でした。

月に2回、とっても楽しい時間だったのに、私を含めた3人の新米生徒たちは途方に暮れているところです。






 

4 件のコメント:

af さんのコメント...

ご冥福をお祈りします。
知り合いたかったです・・・。

hiyoco さんのコメント...

そんなにあっけなく逝ってしまわれることがあるんですね。先週一緒に過ごされたのに。
織物教室がとても楽しいことは、記事を読んでいていつも伝わっていました。
ご冥福をお祈りいたします。

さんのコメント...

afさん
近藤さんもお会いするのを楽しみにしていらっしゃいましたよ。
甥っ子の双子の赤ちゃんが訪ねてくるので楽しみで、あれこれ食事を用意したりして、無理しすぎたようでした。

さんのコメント...

hiyocoさん
ほんとあっけなかったです。
食べない、食べられないの悪循環だったみたい。
私たちも、なんでもじゃんじゃん食べて、毎日を楽しく生きましょうね!