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| 舟大工に作ってもらった古代の舟タラーデを漕ぐ前から2人目が高野さん、3人目が山田高司さん |
『イラク水滸伝』(高野秀行著、文藝春秋社、2023年)を読みました。
イラク南部、ティグリス川とユーフラテス川が交わるあたりのアフワール(湿地帯)に住む人たちの暮らしを紹介しています。
イラクにティグリス・ユーフラテスが流れていることは知っていましたが、大きな湿地帯があり、人々は5000年前と同じように葦で浮島をつくり、その上に葦で家を建てて暮らしていることは、全く知りませんでした。
上は、同行された山田高司さんの描かれたイラストです。繊細にしてかつ味のある絵、山田さんはみんなの似顔絵を描いて引っ張りだこだったそうです。
実はその昔、山田さんにはお会いしたことがありました。山田さんがNGOの一員としてサヘルにいらっしゃる前にお会いして、アグロフォレストリーのお話などしました。
さて、葦では簡易な掘建て小屋だけでなく、大きな家もつくることができます。
上の写真は、高野さんと山田さんが泊めていただいていたゲストハウスの内部の様子です。
この辺りの葦は8メートルにもなり、浮島や家の材料となり、燃料、そして新芽は水牛の餌になります。鯉など魚も獲れて、水牛の乳からゲマール(非常に濃厚な生クリーム)をつくることができ、アフワールの中だけで生活が成り立ちます。
ラクダも戦車も入れない湿地帯は、戦うことを望まないマンダ教徒の住処であるだけでなく、抗争から逃げたい人、反体制の人などの格好の隠れ家となってもきました。
浮島を高野さんたちにつくって見せてくれたのは、船頭のアブー・ハイダル(アブーとはお父さんの意味。アラブでは、長男が生まれると、長男の名前をとって「⚪︎⚪︎のお父さん」と呼ばれる)です。
アブー・ハイダルは、いつも長着や伝統服を着ていますが、それを脱ぎ捨てて浮島をつくってくれました。
過去にほとんど知られていなかったアフワールに、高野さんと山田さんが政情不安定、入局不許可、パンデミックなど、数々の困難を乗り越えながら数年かけて3度赴き(1度に1ヶ月しかいられない)、アラビヤ語のイラク方言だけでなくアフワール方言にも対応しながら、湿地帯の暮らしを観察し、記録したこのご本は、ほとんど謎のなくなった地球上の営みの謎の一角を紹介した貴重な一冊です。
たくさんの登場人物が出てきますが、登場人物たちを水滸伝の梁山泊の好漢たちにたとえているので覚えやすく、より身近にも感じられます。
477ページもある分厚い本ですが、夜寝る前に布団の中で、病院の待合室で、そして机の前で、ワクワクしながら読みました。
望んでいないのに、勝てない戦いにすぐに巻き込まれてしまうイラクの人たち。
「将来は暗い。でも、今日は・・・楽しもう‼︎」
と飛び跳ね、しゃべりまくり、踊り、歌うどこまで陽気なイラクの人たち。
学術的な事柄をしっかり押さえながら、色々なことを実際に経験してみて、経験に基づいて分析し直す、とても素敵な本でした。









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