先日、福岡にお住いのblueskyさんから、飯干五男さん(1928-2017年)のつくられた「かるい」をもらってくれないかという連絡をいただきました。
このかるいは、1975年に結婚されたblueskyさんへ、友人の方がお祝いの品物として注文してくださったもの、ずっとご実家に飾られていたのですが、このたびご実家を整理することになり、どうしたらいいかと思案している中で、私を思い出されたのだそうでした。
かるいなら、飯干さんの下で3年修行された小川鉄平さんにつくっていただいたのを持っています。 私も命に限りがあり、家はものであふれかえっており、いただくことを躊躇する気持ちもありましたが、blueskyさんのかるいもたくさんの籠仲間たちと一緒なら嬉しいのではないかと、ありがたくいただくことにしました。
これが、blueskyさんのかるいです。
そして、こちらが小川鉄平さんにつくっていただいたかるいです。似ていますが、銅のくびれなど、小さい違いがあるようですが、単に個別の違いかもしれません。
2016年に東京のギャラリーKEIANで、小川さんが話されたとき、廣島一夫さん(1915-2013年)のかるいと飯干さんのかるいの違いについても話されました。ブログにはそう書いてあるのですが、残念ながら、肝心の違いが何だったかは書いていません。
さて、底からぐるりと回してある補強用の竹は、編み上げてから最後につけるものです。
飯干さんのかるいは、補強用の竹を針金で留めてありますが、小川さんのかるいは針金を使っていません。
ネットで飯干さんのかるいを見ると、針金を使ってないものが出てきます。
『A Basketmaker in Rural Japan』より |
そして、廣島さんのかるいにも、針金で留めてあるものと、
同上 |
竹で留めてあるものがあり、どちらも1987年の作です。
飯干さんのかるいづくりのYouTubeがあったので、それも見てみました。1時間を超える長い動画でとても興味深いものですが、かるいを編み上げたところでYouTubeは終わっていて、補強用の竹と背負い紐をつけることろは省略されています。
『A Basketmaker in Rural Japan』には、廣島さんが補強用の竹を、緯材に差し込んでいる写真が載っています。とても力の要る作業に見えます。
まったくの憶測ですが、もとは誰もが針金で留めていたところ、もっと美しく仕上げようと工夫され、緯材に差し込むようになったのではないのでしょうか。
blueskyさんにいただいたかるいを小川さんのかるいの下に吊るそうと、命綱まで張って柵の外に出て、梁に釘を打ち、タコ糸で吊るしてみましたが、かるいのどこに糸を掛けても傾いてしまって、まっすぐに吊るせません。
というわけで、こんなところに収まってもらうことにしました。
廣島さんがかるいをつくられている写真です。
縁として入れた竹の輪の内側の竹ひごはすべて下に差し込んでしまって、これから外側の竹ひごを、下に向けて差し込むところです。
4 件のコメント:
飯干さんのかるいのアップ、有り難うございます。
かるいも喜んでいることでしょう。
このかるいが作られたのは1973年です(私の結婚も73年です)。
廣島さんは1975年に、飯干さんからかるいの作り方を習ったと聞いたことがあります。
以下は私の憶測です。
かるいは身近な農具でしたから、使い勝手優先で、姿形を美しくすることにはあまり重きが置かれていなかったのでは無いかと思います。
それが、賞をもらい、有名になるにつれて、より洗練されていったのではないでしょうか。
補強用の竹を留めるのに針金を使うか否かは、その現れのように思います。
廣島さんのかるいに飯干さんも影響を受けたのかもしれないとも思います。
私が子供の頃身近にあった竹のザルや籠などは、針金で留めてある物がほとんどでした。
blueskyさん
UPしたとのお知らせのメールを書きかけていたら、人が来て、このコメントを見る前に書き終えたメールを送ってしまいましたが、結婚された年を間違えていたのですね。失礼しました。
確かに1975年に廣島さんが飯干さんからかるいの作り方を教わっています。blueskyさんが推測されるように、時代や周りの環境が変わったことから、お二人のうちどちらかが、あるいは同じころに針金を使うのをやめられたのでしょうね。
針金を使用したかるいは、逆に当時を偲ぶことができるものとして貴重だと思います。
このたびは、本当にありがとうございました。
とても興味深い内容です。有難うございました!
フナコレタロさん
あれから、小川鉄平さんからもメールをいただきました。
廣島さんが針金を使わないでつくる方法を飯干さんに教えたのだけれど、廣島さんご自身は針金を使った方が強いと、それからも針金を使っていらっしゃったとか、なかなか深いお話でした。
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