2023年5月5日金曜日

ロンタルの籠


東インドネシアのヌサ・トゥンガラ諸島では、パルミラヤシ(ロンタル、オウギヤシ)の葉でつくる民具が生活に生かされています。


パルミラヤシの樹液からは砂糖をつくりますが、
ヌサ・トンガラ諸島に位置するフローレス島では、その樹液を受ける籠やバケツ、水を天日で蒸発させて塩をつくる舟(トレイ)などは太い葉のままでつくり、籠は葉を細く裂いて編みます。


フローレス島の、蓋つきの籠です。六角形にしっかり編まれています。


この籠は、フローレスの言葉で母を意味するDu'Aと、編むを意味するAnyamから、ドゥアニャムと名づけられたプロジェクトのもとにつくられています。


この製作にかかわる女性の収入もあがって、収益金の一部は生活必需品の配布や奨学金給付にも役だてられているそうです。


どの籠もかわいいけれど、角(つの)のある籠はとくに素敵です。


角のある籠といえば、フローレス島以外にもあります。
上はフィリピンの籠、下は東ティモールの籠です。東ティモールは独立しましたが、ヌサ・トンガラ諸島に含まれます。


東ティモールの籠は角にはなっていません、というか小さな角が2つずつになっています。


角だらけのフィリピンの籠は六角形で編まず、平編みにしています。


角の大きいフィリピンの籠は大好きな籠ですが、角が大きすぎて実用には向きません。


ロンタルの籠は適度にしなやかです。タイ、カンボジア、ビルマなど大陸部のパルミラヤシの籠は、どちらかと言えばごわっと硬いのに、どうして島嶼部のパルミラヤシの籠はしなやかなのか?
たぶん、下ごしらえが違うのだと思うのですが、実際に現地でパルミラヤシを見たことがないし、インドネシアの他の島のスマトラ、バリ、ジャワなどでパルミラヤシで編んだ籠を見たこともないので、不明のままです。






 

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