世界を廻って家と人々の暮らしを撮っていらっしゃった写真家の小松義夫さんは、『土の家』(たくさんのふしぎ、福音館書店、2009年)という絵本も出していらっしゃいます。
小松さんによると、世界中で家を見てきたけれど、石の家や木の家より、土の家が一番多いそうです。
表紙はシリアの家です。
ドアやガラスの窓がついていたけれど、パレスチナの農村で、同じような形の家に泊めていただいたことがあります。
そこでいただいたヨーグルトの壺のことを書いた過去の記事に、家は石を積み上げてつくってあると書いているのですが、壁の厚さや地域の条件と照らし合わせてみて、日干し煉瓦を積み上げたつくっていたと考える方が妥当ではないかと思われます。
もう30年以上前のことです。
中は広く、シリアの家と同じように天井はドームになっていました。 壁がとにかく厚かったという印象があります。窓からは遠くになだらかな丘が見えるのですが、丘の上にはイスラエルの入植地があって、景色は台無しでした。パレスチナの田舎で、入植地が目に入らない場所を探すのが難しいくらい、どこにでも入植地があります。小松さんによると、世界中で家を見てきたけれど、石の家や木の家より、土の家が一番多いそうです。
表紙はシリアの家です。
ドアやガラスの窓がついていたけれど、パレスチナの農村で、同じような形の家に泊めていただいたことがあります。
そこでいただいたヨーグルトの壺のことを書いた過去の記事に、家は石を積み上げてつくってあると書いているのですが、壁の厚さや地域の条件と照らし合わせてみて、日干し煉瓦を積み上げたつくっていたと考える方が妥当ではないかと思われます。
もう30年以上前のことです。
パレスチナ人は伝統的に手掘りで水が出る麓に住んできましたが、入植地では1500メートルも掘った地下水を利用しているので、山の上に入植地をつくることができるのです。
イスラエルは水のない国で、住宅地をつくろうにも水の問題があります。そのため、掘れば水の出るヨルダン川西岸に何としても住宅地をつくりたかったのです。とくにソ連崩壊や東ドイツ統一に続く東欧諸国の自由化で多くのユダヤ人がイスラエルに押し寄せた1990年前後から、パレスチナへのイスラエル入植地建設が活発化しました。
ガーナ北部の家。
私たちもガーナで暮らしていたとき、四角いの丸いのいろいろな土の家を見ました。
左の写真の後に積み重ねてある土の壺は収納です。大切な服、種籾など、壺はいわば引き出し代わりです。
マダガスカルの家。
都市なのか農村なのかわかりませんが、家が日本並みにくっついているのがおかしい。マダガスカルは人も、動物も、植物も、何だか興味を惹かれる土地です。
『土の家」には、イエメンの高層建築や、マリのジェンネのモスクなど、造形的にすぐれたアフリカ各地の家や建物のほかにも、メキシコやネパールの土の家などが紹介されています。
中国の土に穴を掘ってつくった家も紹介されていました。
これは素敵な写真ですが全容がわかりません。
外観の全容を知るには、『Architecture without Architects』(建築家なしの建築、Bernard Rudofsky著、1964年)の写真が役に立ちます。
家はすべて土の中、地表が道路となっています。集落の回りには農地も見えます。
モータリゼーションが進んで、この地域もすっかり様変わりしたと誰かに聞いたような気もします。
人を含む生物は、地球上で土とともに生きて来たこと、そして今も土と生きていることを改めて気づかせてくれる本です。
太陽と空気と水だけでなく、土がなければ生物は暮らしていけません。土に感謝です。
2 件のコメント:
こんばんは。
そちら、地震大丈夫ですか?
震源から離れているこちらまで揺れが伝わってきたのでビックリです。
かねぽんさん
ありがとうございます。
大丈夫でしたが、いつもの地震より長かったです。
この辺りの地震は前触れの地鳴りがあってから揺れるのですが、最近は地鳴りだけのこともありました。今日の地震は地鳴りなしでいきなりでした。
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