大江戸骨董市で買ったのは押すおもちゃ、カタカタでした。
その骨董屋さんがどんな品揃えだったか、目もくれなかったので全く覚えていませんが、低い位置に品物をディスプレイしているお店が多い中、カタカタはずいぶん高いところにポンと置いてあり、その前に人がいたりしたのですが、遠くから目に入りました。
3匹の犬が角棒の上に乗り、その角棒の先が後輪につながった車軸に刺した竹のひごに押されて次々と持ち上がり、落ちてカタカタと鳴る仕掛けです。
まだしっかり歩けない、何かにつかまってやっと歩けるようになった赤ちゃんが押して遊ぶおもちゃです。
真ん中の竹ひごだけが車軸の両側に突き出しています。車軸が一回転すると、真ん中、右、真ん中、左という順番で竹ひごが角棒を抑えて、犬たちが跳ね上がります。つまり犬は3匹ですが、車軸が一回転すると真ん中の犬だけ二度跳ね上がる仕掛けです。
店主は、私がカタカタを見ている間、
「これは素人の作でしょうね。ものがない時代に子どものために、へたくそだけど一生懸命つくったものでしょう」
と、稚拙な作であることを強調しながら横から延々と話し続けていましたが、後輪は板を丸く切り抜いてつくってあること(前輪は丸棒の輪切り)、絵つけが手慣れていることなどから、私は売るためにつくられた商品だったのではないかと思いました。
それぞれの犬が乗った棒は穴を開けて竹串を刺し、
上下逆さです |
深く切り込みを入れた板の上に並べてあります。
前輪は轆轤で挽いた棒を輪切りにしているのですが、持ち手と後輪の車軸は、板を(鉋で)削ってつくってあります。適当な材料がなくて、板を削り出すのが手っ取り早かったのだろうと推察されますが、丸がいびつなためとくに持ち手は握りやすく、赤ちゃんの手に優しく仕上がっています。もっともまだ歩くことがおぼつかない赤ちゃんが、力の入れ方も知らずにこのカタカタに体重を預けるとしたら、ちょっと軽すぎて不安定です。かといって、すたすた歩けるようになった幼児がこれを押すには小さすぎる感じもします。そこは、大人が見守っていたのでしょう。
道具や機械や材料、そしておもちゃもとても不足していた時代につくられたものであることは間違いなく、売るためにつくられたものとはいえ、愛情がたくさん詰まったものになっています。
5 件のコメント:
これは魅力的だなぁ~孫に作りたくなるよ。( ´∀` )
Shigeでした。
Shigeさん
スマホからですか。なんだか匿名しかできないみたい。
Shigeさんにもお孫さんができたのですね(^^♪
Shigeさんなら素敵な絵を描いて、これよりずっと素敵なカタカタがつくれそうです。跳ねるのは犬ではなく、くじらやイルカやサメが跳ねるやつがね!
確かに板の幅が違ったりするので、ありもので作った感じがありますが、絵が手慣れていると見抜く春さんはさすがです。竹ひごだけが新しく見えるのは材質の違いでしょうか。
匿名で投稿されちゃう問題は、新年でリセットされたようで、名前の登録を仕直したら自動的に表示されるようになりました。みんな年明け1回目の投稿だけは匿名かもしれません(笑)。
hiyocoさん
コメントが匿名問題、何とかなりそうでありがとうございます。
確かにそうだ!板の厚みが違っているってことは、ただの板を切ったのではなく、丸太から板を手鋸で削りだしたということも考えられます。生木に近かったから、収縮して2枚の板の間が盛大に開いてしまったのかもしれませんね。
息子は私塾を主宰しているので、教師面して「たとえものの良し悪しがわからなくても店主の人柄を見ることによってどんなものを商っているか想像がつく」なんてみんなに垂れていましたが、確かにそうだと思いながらも、私はカタカタを売っていた人の顔も満足に見ませんでした(笑)。
暇があったら一度くらい大江戸骨董市を覗いてみてください。第一と第三日曜日のようです。
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