2018年4月28日土曜日

Svepask(曲げ木の箱、2)

図1


ネットでノルウェーの曲げ木の箱(Svepask)の、蓋の仕組みを描いた絵を見つけました。
蓋をまずAの下に差し込んではめ、Bをくるっと点線のところまで回せば、蓋を閉めることができます。
Bの下の方は円柱になっていて、それを白樺の根や蔓で箱に留めてあります。
蔓で巻く部分をちょっと細くしておくと、Bは上下に動きません。

Pinterestより

こんな写真も見つけました。
曲げ木をつないだ場所と突起の位置が、上の絵とは真逆になっていますが、この箱を描いたのではないかと思われるほど、上の絵とよく似ています。


でも、この模様でこの取っ手のつけ方の箱はほかにも見かけたので、ノルウェーでは、ある時期、よくある形、よくある模様だったのかもしれません。


我が家でお茶入れとして使っている曲げ木の箱も、この方法で開閉します。
片手で、簡単に開け閉めできるので、とても便利です。

図2

もう一つ、お弁当箱などによくある、蓋の閉め方です。
蓋をまず、箱の左の突起に差し込んで、蓋を上から押して嵌めます。右の突起が押されて、ちょっと外側にしなる感じで、はまります。
この方法は、きつくつくってあるものも多く、片手ですいすい開閉するわけにはいきませんが、しっかり閉まって、多少振り回しても蓋が外れることもなく、お弁当箱などには最適です。


蓋の両端をとがらせて、装飾的にしたものもあります。


そして、両端を尖らせてないものもあります。スウェーデンのものです。

北欧では曲木の箱は、なんと石器時代からつくられていたようです。
日本で曲げ木の箱がつくられたのは江戸時代からですから、歴史が違います。北欧では、各種食品の貯蔵だけでなく、曲げ木の箱は旅行鞄としても使われていました。


蓋を止める突起ひとつ見ても、それぞれ特徴があり、自分のために楽しんでつくったとしか思えません。


北欧の曲げ木の箱には、つくった年号を記してあるものが、よくあります。
これは1832年(天保3年)、200年近く前につくられたものです。
日本でも、明治のころは曲木の箱はありふれた日用雑器だったようですが、北欧では、日本同様、あるいはそれ以上に、ありふれたものだったのでしょう。

曲げ木の箱の蓋を留めるのに、大まかには上記の二つの方法がありますが、細かく見るとさらにバリェーションがあるようです。

Bukowskisより

例えばこの二つ、蓋の一方に切り込みではなくて、穴を開けてあります。
上からまっすぐ、蓋を落とすようにすると、左の突起がちょっと外側に開いて、蓋が留まるものでしょう。

北欧の曲げ木の箱を見ると、千差万別でどれも個性的です。
造作が見事なものもあれば、稚拙なものもあります。専門の職人さんもいたと思いますが、多くは農閑期の副業だったり、自分でつくったりしたのではないかと、想像します。


シンプルなもの、彫り模様のもの、そして、ペイントしたものもあります。

北欧の曲げわっぱにはもちろん、ただの木の蓋を乗せたもの、曲げ木の蓋をかぶせたものなどもありますが、それらの閉め方は北欧以外の地域でも見られますが、上記二つは、北欧だけに見られるものです。







2 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

姐さん歴史に驚きました。
一番最後は漂着する「白樺浮き」そっくりですね。

さんのコメント...

昭ちゃん
ついつい、見慣れているから、曲げ木細工って日本固有と思ってしまいますよね。
北欧だけでなく、西ヨーロッパにも、南北アメリカにも、中国にもあります。日本は、もしかしたらもっとも遅く作り始めたのかもしれませんね。

一番下の写真?白樺浮きに見えるって?ピンポーンというか、白樺浮き以外の何物でもありません(笑)。北海道ののらさんが、がばっと網ごと漂着していたのを、切り離して送ってくれたものです。いろんな色があって素敵でしょう(^^♪一度福井のShigeさんの教室に参加して拾いましたが、際限なく拾いたくなりました(笑)。

北朝鮮かロシアか、どちらから流れてきたのでしょうかね?ロシアの漁民も朝鮮民族もいるんでしょうか?行って、白樺浮きのついた網で漁をしている姿、見てみたいです。