2018年10月31日水曜日

木材会社見学


我が家は、家の材料として、茨城県、福島県、栃木県の三県にまたがる八溝山のあたり、「八溝杉」を使っています。標高が高く、目の詰まったよい杉です。
その、八溝杉の原木を加工している、福島県塙町のK木材を、今度家を建てようとしているMちゃんとともに見学しました。


4万坪以上ある敷地のあちこちに原木が運び込まれ、積み上げられていました。
K木材では、直接山から買った原木と、原木市場から買った原木の加工をしています。原木には、4メートルものと6メートルものの二種類があり、それを重機が忙しく積んだり動かしたりしています。


まず、この建物に運んで、原木の皮をはぎます。
ぐるぐる回して、皮はあっという間にはがされ、まるで皮をむいたごぼうのようになって出てきます。


皮をはいだ丸太は、機械にかけて四角く切り取り、柱、梁などの構造材をつくります。
そのとき4つ出る、かまぼこ型の切り離した材も四角く切って板にします。
まっすぐなように見えて、木はすべてが形が違うので、レーザー光線を当てて瞬時に木取りの方向を判断して、丸い部分を切り落とします。


こうして、材木にしたものを、乾燥機にかけます。
正面に見えるのが炉です。右の木が、もう2段積んで揃う(全部で2列×4段×3=24ユニット入る。1ユニット48本)と、レールで炉の中まで運ばれ、扉を閉めて、高温にして乾燥させます。

現在では、効率を上げるため、ほとんどの建物にKD材(Kiln Dry Woodの略で、乾燥機(Kiln)で乾燥した材)が使われています。
しかし、KD材は加熱するため、木の脂分が抜けて、色が悪くなります。また、AD材(Air Dry Woodの略、天然乾燥材)に比べると、木の粘りがなくなります。
それをできるだけ避けようと、K木材では、高温で表面の水分を抜いた後、一旦炉から取り出して冷やしてから、今度は低温の炉に入れて、芯の水分をゆっくり抜くという手間をかけているそうです。


また、燃料は化石燃料ではなく、おが屑や端材を燃やしています。


なるほど、商品となった木材は、KD材にしては、わりと色よく仕上がっていました。
AD材と一般のKD材を比べると、見た目は色が違うくらいですが、AD材は建物になった後も木としての特性を備えたまま「生き続け」ますが、KD材は見た目が木でも、すでに死んでいます。

K木材は、山の近くだし、AD材も扱っているとある方に紹介されて、見学に行ったのですが、AD材の取り扱いはもうしていませんでした。


行きは、八郷からわりとまっすぐ北上しましたが、標高と夜の冷え込みの違いか、どこも美しく紅葉していました。
また、道のまわりに広がる穏やかな風景にも、なごみました。
帰りは道を東に取って、海に出ました。


海岸沿いの食堂で、海を眺めながら、ゆうに三人分は盛ってあるようなお刺身定食をいただいて帰ってきました。





2018年10月30日火曜日

ミルク入れ

実際に使われていた道具類は、木やヒョウタンでできたものであれ、素焼きの土器であれ、いつまでもカビが生える続けるものが、多々あります。
また、ミルクやヨーグルト、バターや油などを入れていた容器は、カビるだけでなく、いつまでも臭いが残っていることもあります。
カビはその都度丁寧に洗って、そして乾かしてを繰り返すほかありません。臭いもやがて薄くなりますが、あまりにも臭気が強かったアフリカの壺を、外に何年も置いて、臭いを抜いたこともありました。

私が持っていたエチオピアの、ヒョウタンでできた小さなミルク入れは、毎年湿度の高い季節には、決まってカビが生えました。その都度洗ったりしましたが、日本を留守をしていて、何年も洗えなかった時期があり、段ボール箱に入れたままで、しばらく積んでいた時期もありました。
八郷に来て数年後、やっと母屋ができて地下室に積んでいた段ボール箱を開けてみたときは、ミルク入れはカビが広がっていただけでなく、カビのせいか小さなひび割れが全体に広がり、まるでごみの固まり、穴も開いて、捨てざるを得ませんでした。


その捨てたミルク入れによく似た、やはりエチオピアのオロモのミルク入れを見つけたときは、とても懐かしくなりました。


長く使われていたらしく、ヒョウタンは内側からしみ込んだミルク(あるいはヨーグルトなど乳製品)で飴色に変化していて、縁をかがってある草(ギニアグラス)は擦り切れていました。


蓋は、なくしてしまったか、あるいは壊れたかで、新しいものでした。


新しいとはいえ、とてもよくできていたので、おそらく容器をつくったのと同一人物なのでしょう。草をヒョウタンに丁寧に編みつけから、重なる部分を立ち上げています。


私は、蓋がオリジナルなものより、より親しみを感じます。
ヒョウタンに穴を開けようとすると割れやすいものですが、まだ緑の乾いていないときに、針穴だけあけて置くものなのでしょうか?
草を編むのも大変な仕事に見えますが、その昔エチオピアで、目の前で刷毛をつくってもらったのを見ていた経験からすると、あっというまにつくってしまうのではないかとも思います。








2018年10月29日月曜日

集会の前後


昨日、我が家で60人以上集まる集会がありました。
家を見て、夫の話を聞いて、グループに分けて話し合って発表する、5時間にもわたる長丁場でした。

それに先立ち、前日に掃除機をかけていました。
そして、ふと動かなくなった掃除機を思い出し、あの掃除機の収納場所だったところには何をしまおうかと思いながら、夫に、
「次の粗大ごみの日に、掃除機を捨てるね」
と、報告しました。
「捨てるって、大きい方の掃除機?」
「そうよ」
当たり前です。
「捨てるなよ。直してやるよ」
「えぇぇぇ!」
耳を疑いました。
直してと頼んだら、けんもほろろに断られたのはわずか一か月ほど前のことでした。
「もう直らないって言ったじゃない!」
「そのときは、それどころじゃなかったんだよ。直してやるよ」
何に気を取られて余裕がなかったのか、はっきり覚えていませんが、M+M夫妻の家の設計で押し詰まっていたのでしょうか?
それにしても今回、「捨てるから」と報告したのは、60余人もの訪問客があるという前日でした。準備万端怠りない夫のこと、ほかのことを考える余裕がなくてもおかしくない日なのに、余裕しゃくしゃくだったのか、その豹変ぶりは、信じられないほどでした。


さて、当日の朝、出しっぱなしにしてあった消毒液をしまうついでに、薬箱(丸いアタの籠)の中を整理しました。客人があるときを利用して、何の関係もないところの整理をするのは、私のお家芸です。
なんてこと、薬箱の半分近くを占めていたのは、犬の薬でした。もう犬が一匹もいなくなって一年も経つというのに...。
犬の薬を捨てたついでに、同じ棚に並んでいる、菓子鉢その他も洗ったり拭いたりします。


すると、出てきました。
水屋(食器棚)に入りきらなかったのか、大きなお皿が出てきました。あぁもったいない、何年も使っていませんでした。


ティッシュの箱の下からは、猫の切手が出てきました。
これも使わなくっちゃ。


8班に分かれた分科会が、あちこちで開かれています。


室内にも、二組ほど、お天気がよくて何よりでした。


主催者のSさんから、空也のクッキーをいただきました。
「最近、空也がクッキーもつくっていて、おいしいのよ」
「空也の最中」が好きだった亡き叔父を思い出しました。母は岡山に行くときは、必ず叔父の好きな「空也の最中」と小川軒の「レーズンウイッチ」を買いに走っていました。どちらも、1960年代の東京名物、朝早く行かないと買えないお菓子でした。
母自身は、食べたことがあったのかしら?


初対面のYさんからは、フェルトのブローチをいただきました。
もう、薄暗くなっていてよく見えなかったのですが、障がい者の方がつくっているとのこと、「9」と「13」があり、訊くと9は憲法九条で、13は憲法十三条(基本的人権の尊重)とのこと、あとで、ピンクでNO WARと書いてあるのが読めました。
私に渡してよいものかどうか、私を知らないのでどきどきなさったとのこと、ありがたく頂きましたよ。


A.Fさんからは、紙袋入りの編んだものをいただいたので、
「あぁ、石鹸なしで洗うアクリルたわしね」
と軽く受け取ったのですが、お帰りになってから開けてみると、別のものも入っていました。


何にするものかわかりません。
メイルでたずねてみたら、襟巻だって!くびれたところに穴が開いていたのに気づかなかったのです。
というわけで、にぎやかな一日が終わりました。
 Sさん、Yさん、A.Fさん、ありがとう。








2018年10月28日日曜日

ウイピル


東京に出掛けた先日、久しぶりに身だしなみでも整えようと、引き出しを開けて目当てのブラウスを探していたら、グアテマラのウイピルが目に留まりました。
そういえば、もう何年も着ていません。
買ったときは一生着るつもりでいましたが、なかなかそうもいかないものです。いまでは、ウイピルを着る機会というものがやってきません。


前後は色違いで模様が同じ

ウイピルは、グアテマラの先住民族であるインディヘナの人たちがつくって着ている民族衣装です。
細く織った布を三枚縦につなげ、二つ折りにして、その真ん中に首を出す穴を開け、手を出すところを残して両脇を縫い合わせた巻頭衣です。


織り方は、緯糸(よこいと)が全く見えないほど経糸(たていと)を詰めて織ってあるので、平織りですが厚みがあります。


左右の刺繍のように見えるのは模様織り、真ん中の布と布をつなぎながら刺したギザギザ模様のところだけ刺繍です。
地は木綿糸で織ってありますが、織り込んだり刺繍に使っている糸は、たぶん色彩が豊富な糸が容易に手に入るので使っていると思われる、アクリル糸です。


裏返してみると、織り模様と刺繍の違いが一目瞭然です。


布に鋏を入れたところは、きれいに巻いて始末しています。

以下は、ネットで見つけた、ウイピルを着ている女性たちです。


ウイピルを身に着け、ウイピルの材料にする布を織りながら、布を売っている女性です。
織っている布は、経糸が白ですから、ベースが白い布になりますが、いろいろな色の糸を使って模様を出している様子が、布の裏に垂れ下がっている糸から伺えます。


出来上がると、こんな感じのウイピルになるのかもしれません(これはベースが淡い藤色ですが)。


手前の少女は、ちょっと大きめのウイピルを身に着けています。大人用でしょうか?
大きめのウイピルは、なかなか素敵、藍染も魅力的です。

私はもう、きっとウイピルを着ることはないと思います。
というわけでウイピルを、服の引き出しから、民族布の戸棚に移してしまいました。







2018年10月27日土曜日

現実逃避


6か月目の定期健診で歯医者さんに行きました。
そんなとき、決まってやられる(やっていただく)ことは、歯石を取ることです。

まず、一日目は唾液が直接当たって歯石ができやすい下の歯の歯石を取りました。
途中でうがいをはさみながら、機械削り、機械、手でがりがり、歯間ブラシ、もう一度機械、エアーを当てながら手でがりがり、こすりながら消毒と、約30分の苦行でした。

その間、痛さや音から逃避するために、先日ラジオで、
「MRIを撮るとき想像するといいよ」
と聞いた、二匹の子犬が野原で蝶と戯れているテレビの映像を想像しました。でも、その画面を実際見たことがないので想像には限界があります。ついには自分も子犬たちと一緒に野原を駆け回るところまで想像しましたが、うっかりすると、すぐに現実に引き戻されてしまいました。



いけない、いけない。
次になぜか、地球誕生を想像しました。赤く燃えている地球が冷えてきて、海ができて、そして恐竜が目の前で歩き回っているのを想像しました。
と同時に、歯ぐきを痛くされているのは、地球の歴史に比べると、ほんの一瞬なんだから、気にしない気にしないと自分に言い聞かせました。

終わったら、本当にやれやれでした。でもまた10日後には上の歯の歯石を取らなくてはなりません。
今度は、いったい何を想像して現実逃避をしましょうか?







2018年10月26日金曜日

ガラスの交換、その二

2011年の地震で割れていたガラスの交換に続いて、鳥がぶつかって、ひびの入ったガラスを取り換えました。
夫が測りもせずに(設計図だけ見て)注文したガラス3枚のうち、先の2枚は、1枚は背が高すぎ、1枚は長さが足りません(たぶん別の場所のガラスの長さ)でした。さて最後の1枚は、寸法どおりにつくられているでしょうか?


じゃぁぁん!
高さ幅とも、15~20ミリずつ小さすぎました。


なんとか、やっと内側の枠には引っかかりましたが、引っ掛かり代が、5ミリくらいです。
外からは、不足部に木を足すにしても、内側からはガラスの枠の黒い部分(ペアガラスのため)がよく見えてしまいます。


下部は、もともと、「下駄」を履かせて高さを調節していたのですが、それを高いものに取り換えました。
 

左右は、隙間が広く開いたので、地震の時、ガラスが動いて片方に寄ってしまったりしないように、ガラスの左右の奥に詰めものをしました。
柱や枠材とガラス面を密着させるパッキンは、元からのものを生かすことができましたが、抑える木などは、ガラスが小さくなったので、どれも太いものにしなくては留められませんでした。


詰めものをつくったり、抑える木を太いものにしたり、新たに一枚足したりと、半日かかってしまいましたが、何とか嵌めることができました。


幸い内側には新たに材を足したりすることなくすみました。
もし、枠より小さかったら夫は、
「内側に枠をはめて、それからガラスを嵌めればいいだろう?」
くらいは、言いかねなかったと思います。


家の中からは、幸い目立たないところ、障子を開けたところに見えているのが、新しく嵌めたガラスです。


家の中から見て、ガラスの左は見えますが、右は見えません。


細い「縁側」に出て、ガラスの右を間近に見ると、本来は、柱にガラスが嵌っているように見えるはずが、柱面からガラスの黒い部分が飛び出し、さらにその向こうに新しいあて木が飛び出して見えています。
とはいえ、しっかり嵌っているので、
「終わりよければ、すべてよし」でした。









2018年10月25日木曜日

パーニュ


トビウオ?
干物?
とっても鮮やかな色のアフリカのプリント布、パーニュです。
アフリカで売られているプリントの布は、東アフリカではキテンゲと呼ばれていますが、西アフリカでは、パーニュと呼ばれています。
仕立てていないキテンゲがたまっているというのに、また買ってしまいました。


手に取ってから気がついたのは、キテンゲのような(一般的なプリント布のような)プリントの裏表がないことでした。バティクのように、裏も表と同じように染まっています。
プリント布でも、バティク風の模様の布が、裏表なく染められているのは知っていますが、いかにもプリント風の布で、裏表がない布は、あまり見たことがありません。いったい、どこでつくられたものでしょうか?


布の端には、WAX BLOCK PRINTS(蝋版染め?)と書いてあるけれど、版のつなぎ目もといったものは、目立ちません。


ネットで見ると、WAX BLOCK PRINTSは、ガーナでつくられた布が多いようです。
これも、ガーナ産でしょうか?


「さぁて、どんな服をつくろうかなぁ」
って言ったって、いつできるとも知れません。
たったの、2ヤードしか買わなかったので、できるのはチュニックかワンピースくらいです。