2017年1月31日火曜日

一鳥二鳥

横浜の中華街を外れたところに、チャイハネというお店があります。もともといろいろな国の民具、民族衣装、雑貨などを売っていましたが、やがて、世の中の景気がよくなるにしたがって拡張し、服飾関係の品が独立した店舗となって出て行き、数年してから骨董的なものも別の店として独立させたり、シアターができるなど、付近はチャイハネの支店が点々とある、ワンダーランドのようになっていました。

なかでも、アフリカのものを主に置いていた骨董雑貨店、トルクメンは圧巻でした。
見たことのない古いもの、大きいものが、美しいディスプレイで飾られて、足を運ぶたびに、びっくりさせられました。
横浜方面に行くときは、トルクメンを覗くのが楽しみ、必ず足を伸ばして、店長のいのくちさんのお話を聞き、何も買わないこともあれば、あれこれ迷った末に、小さいものを手に入れて、満足して帰ってくることもありました。

さて、私自身はあまり世相に関係ない生活をしていましたが、世の中はバブルになって、そしてはじけました。トルクメンに置いてある素晴らしいものの数々、誰が買うのかと思っていたら、そんなバブリーな客が買っていたようでした。
もう、20年も前になるかしら、久しぶりに言ってみたトルクメンからは、古いものがすべて消えていて、店長さんも変わり、まったく様相を変えていました。
そして、その店自体も、まもなくなくなってしまいました。
チャイハネ本店と、小物や服を売る支店は残っていますが、その店には私が欲しいと思うようなものはなく、ただの雑貨とファッションの店になっています。

最近、ネットで何かをさがしていたら、チャイハネのネットショップを見つけました。
おぉ懐かしい!覗いてみたら、鳥の風鈴がありました。しかもなんてこと、見ていると、送料無料のクーポンがつきました。
というわけで、買ってしまいました。


タイに住んでいたころ、色々な家の窓辺に、よく鳥が止まり木に止まっているオブジェがぶら下がっていました。
金持ちの家でも、貧しい家でも、タイ人の家でも、日本人のアパートでも、都会でも、田舎でも見かけたもので、大きいのもあれば小さいのもあり、よくできているのもあれば、変なのもありました。
何だか、懐かしいものです。

たいてい、止まり木の下には一枚の竹がぶら下がっているだけですが、これは欲張っていて、竹の風鈴もついています。
鳥は木だけではなくて、ココヤシで、そして止まっているところもココヤシでできています。 


さっそく、作業棟の下屋の軒下に吊るしてみました。


ここなら、邪魔にならないし、暴風雨のときでも雨も当たらないでしょう。


鳥と風鈴と、欲張ったためか、強い風が吹いても、鳥は目まぐるしく動きますが、風鈴はほとんど鳴りません。
  

でも、鳥がくるくる回って、十分楽しめます。
タイも思い出せばチャイハネも思い出す、一石二鳥ならぬ、一鳥二鳥となりました。








2017年1月30日月曜日

めんぱ

  
端正な曲木のお弁当箱、めんぱです。


外側(左)は、曲げた木と平らな木をただ突き合わせているだけですが、内側(右)から見ると、繋ぎ目に漆がこってりと塗ってあって、防水対策が万全であることがわかります。
味噌汁を飲むのに使っていたからです。お酒も飲んだかもしれません。


このめんぱを見ると、漆は木の持ちをよくするためや装飾のためだけでなく、かつては器の防水に欠かせなかったものだということが、よくわかります。
それでいて、通気性もよくできるのだから不思議です。


遠藤ケイの『手作り生活道具』(遠藤ケイ著、Outdoor BOOKS(19)、1996年)にめんぱのつくり方が載っています。
まず、型をつくります。


型の側面に挟み具をはめ込む溝を彫ります。


挟み具は、一方の端の支点になる部分は紐で結び合わせ、型に合わせて板をはさんだら、コの字型の木をかませて留めます。


つくり方です。
右上から、①柾目に裂いて、鉋で削った板を煮て柔らかくして、丸太や竹にあてて丸めて、曲げ癖をつけます。
②曲げ癖のついた板をさらに煮て柔らかくし、型に巻き、挟み具で締めて、乾燥させます。
③乾燥したら型から外して、合わさる部分の板を薄く削ります。④平刀の彫刻刀で縫い穴を開けて、⑤樺の皮で縫います。
いまどきですから、縫い穴を開けるのは接着剤で留めてからと書いてありますが、昔だったら接着剤は使わなかったか、あるいは漆を接着剤として使ったものと思われます。
⑥蓋の天板と容器の底板を切り抜いてはめ込み、竹釘で留めます。

いやはや、遠藤ケイさんは、木工や竹細工だけでなく、鍛冶仕事もやっています。
竹の蒸篭、餅つきの臼、回して挽く石臼、出刃包丁、タコ焼き器、硯、尺八、魚を獲って食べるために川に仕掛ける筌(うけ)、やっとこ、墨壺などなど、自分でつくれると私が思ったこともないものを、どれも美しく仕上げています。
鬼おろし(わさびおろしもチーズおろしもあった)も、いろいろな形のがあって、鬼おろし一つつくれない自分が、この本を見ると、恥ずかくなってしまいます。


さて、それにしてもこのめんぱは巨大です。
焚いた飯が、ゆうに三合以上入ります。


私が前にお弁当箱として使っていためんぱは、大きなおにぎり二つに卵焼き、野菜、果物などを入れてもまだすかすかするので、小さなお弁当箱と替えてしまったのですが、それと比べてみると大きさがわかります。


そして、東南アジアの山岳地方のもち米入れと比べてみると、その大きさが際立っています。


このめんぱを使っていた人は一日二食だったのかもしれません。
あるいは、二食分詰めて行ったのか、それとも、ご夫婦で分け合って食べたことも考えられます。







2017年1月29日日曜日

小さいやつら


ちょっと失敗しました。
ただの招き猫を買ったつもりが、コップの縁に引っ掛ける招き猫たちでした。
 
 
だいたい、何か飲むときに猫をひっかけるわけじゃないし、コップに引っ掛けたままで置いておけば、埃がたまるばかりだし、一体何を考えてこんなものつくるんだと、文句の一つも言いたいところですが、間違えたとはいえ、買う人がいるからつくるのでしょう。
 

しかも軽く置けば引っかかるわけじゃなくて、二点だけで支えているので、バランスよくひっかけないと落ちてしまうのもいれば、


この厚みのコップではどうやってみても最初からずっこけてしまうものいます。


しかたない、そこいらに転がってもらって、勝手にやってもらいましょう。







2017年1月28日土曜日

小休止


拾ったものを入れる引き出し箪笥が、一応できあがりました。
一応と言うのは、まだ引き出しの中の仕切りを仕上げてないものが、残っているからですが、本業の家づくりに戻り、仕上げは後回しです。

この時期に引き出しをつくったのは、ビニールハウスを取り壊したときに中途半端な、傷んだ材木が出てきたことと、壁を張ったときの短い切り端がたくさんあったことからでした。
つくるのはいつでもよかったのですが、片づけの観点から見ると、ちょうど適期だったのです。


小さいものを入れる薄い引き出しは、四つに仕切ってありますが、さらに、持っている種や実の大きさや量に合わせて、細かく仕切りました。


浮きのように比較的大きいものは、並べてみて、一番無駄なく収まるように仕切りをつくりました。
十個の引き出しのうち六個はできあがっています。


残りの四個も、もう半日もあれば完成しそうですが、一旦休んで、日曜日にもう一度隠れている種や実がないかさがして、さらに貝やウニはどうするのか、などなど考えてから完成させます。


展示室に収めてみました。
この引き出しの後ろの箪笥と、高さも幅も同じにつくってあります。


ただ、これで展示室がすっきりしたかと言うと、残念ながらほとんど変わっていません。


というのは、今回引き出しに収めたものは、ビンや箱に入って並べていたもので、ビンや箱は、種や実が入っていようといまいと、関係なく並べてあるのだから、見た目はほとんど同じなのです。


そして、ビンにも箱にも入らない大きめの種や実は、相変わらずそこいらに散らばったままです。


もちろん、石も転がっています。


でも、引き出しをつくったことによって整理ができてよかった、虫が食っているものを煮たり捨てたりできたことだけでも、大収穫でした。


来週早々には、全部仕上げるつもりです。







2017年1月27日金曜日

時代の波?


その道を通りがかって、
「あれっ、なんか変!」
と思いました。
帰り道、車を降りてみました。
あんなにたくさん立ててあった、犬供養の三又が、一本残らず片づけられていたのです。


二月に新しいものと取り換えるのは知っていましたが、これまで、古いものもそのままにしてあって、何本も、何本もありました。
12月に前を通ったときも、見かけたように記憶しています。
子安講そのものが形を変えてしまったのでしょうか?


石像たちも、こころなしか寂しそうです。

二月(たぶん旧正月か?)には、例年通り新しい三又が供えられるかどうか、忘れずに見ていたいと思いますが、石像同様、私も寂しいです。







2017年1月26日木曜日

買ってはみたものの

Yさんから、今年はキユーピーマヨネーズのイヤービンを買わなかったのですか、と訊かれました。
「それが、買ったのよ」


蓋が代わってからやめようと思って、今年も散々迷いました。でも、
「ビンのためではなくて、マヨネーズを食べるためと思って買えばいいじゃない」
と、買ってはいたのです。
 

干支の鶏のついた模様に文句があるわけじゃないけれど、蓋にはやっぱり文句があります。

 
時代が変わって、スクリューキャップより、ツイストキャップの方が密閉しやすいとか、製造しやすいとか、時代にあった新しい感じがするとか、いろいろな理由があるのかもしれません。
でも、ビンを再利用してジャムなどを入れるには向いていても、愛でるには全然向いていません。



蓋も、ビンも完成度が低いようだと思うのは、私だけでしょうか。


というわけで、ツイストキャップのビンは、要らないのですが.....。







2017年1月25日水曜日

やっぱり直しています

形が歪んでしまっている私の引き出し箪笥のことを知り、夫が、
「直せば?引き出し一つ諦めて、板を入れればいいじゃないか」
と言います。
それもそう、まだ完成もしていないのに、自分が使うものだからと側板が反っているのをそのままにしておかないで、直せばいいのです。


手前が開いているので、手前だけ適当な材を渡して縮めれば簡単かとも思いましたが、全体を矯正した方がいいと思い直し、幅広の板をつくりました。


それを、真ん中あたりに差し込んでみます。
「あちゃぁ」
奥は裏板を留めてあるので正しい寸法ですが、真ん中がぎゅっと縮んで、そして手前で開いています。これじゃ、引き出しは、どう収まったらいいのか、戸惑うばかりだったでしょう。


後から攻めてきたら、手前にこんなに隙間ができました。
 

それをクランプで抑えて、ねじ釘を使って、縮めます。


よかった。思い切って修正して。
それにしても、狂いを避けるため、最初から真ん中をつないでおくべきでした。



というわけで、最後の引き出しは、深いものになってしまいました。
まっ、いいか。おおきな種や実でも入れましょう。その方が片づきます。 

しばらく強かった風が、今日は収まるとのこと、引き出しをあと一つつくり終えたら、中の仕切りは後回しにして、作業棟二階の窓枠の取りつけにかかりたいと思っています。
この数日は、二階に上がるだけで、吹き通る風に見舞われて、とても落ち着いて作業などできる状況ではありませんでしたから。




2017年1月24日火曜日

寒風吹き荒れた一日


昨日は、ななさんが、大工体験に来てくれました。
あいにくの冷たい風が吹きすさぶ中、壁を張りました。スライド丸鋸もテーブルソーも初体験でしたが、呑み込みは早い、壁は二面完成しました。


夫は鉄仕事。寒っ!
コンクリート柱の上の、屋上への出入り口は、いまだに仮の合板で閉じていますが、鉄板の蓋をつくるため、切断と溶接でつくっています。
もう、溶接機はしまったあとだけれど。
 

そして、私はコレクションのための引き出しづくり。
じつは大失敗しています。このくらい大きなものになったら、真ん中あたりに一枚、本体をしっかりさせるための板を入れるべきだった。
それを怠ったため、真ん中あたりで、横幅が上下より数ミリ広がっています。自分が使うものだから、直さないでやっていますが。