2011年1月28日金曜日

隣国の猫たち





かれこれ30年も前に、香港で手に入れた、中国の山東省の土人形です。
私は猫だと思っているのですが、もしかしたら虎でしょうか?
額には、虎であることを示す、「王」の印はありません。

中国には、素敵で、素朴な土人形が、いろいろあります。

地球上には、人形(ひとがた)のある文化と、ない文化があります。
もともとは宗教的な背景のもとにはじまった人形やおもちゃづくり。人形(ひとがた)をたくさんつくる文化にも、つくろうとしない文化にも、それぞれ理由があります。

日 本、中国、インド、ルーマニア、フランス、スペイン、メキシコ、ペルーなどは、人形をたくさんつくった文化です。
そして、韓国、イスラム諸国などは、あま り人形をつくらなかった文化です。
また、タイやビルマのように宗教儀礼のためには人形(ひとがた)をつくりますが、おもちゃとしてはつくらなかった文化も あります。




ソウルの仁寺洞(インサドン)の骨董屋で、この小さな木彫りの猫を見つけたときはびっくりしました。

韓国は、人形(ひとがた)を畏れ、つくらなかった文化です。
いまでこそ、民族衣装をつけた人形が、お土産物屋にところ狭しと並んでいますが、人や動物を模したものは、伝統的にはほとんどありません。
わずかに結婚式の木彫りのカモのつがいがあるくらいです。

「これはおいくら?」とたずねると、骨董屋さんが私をまじまじと見つめて、「えっ。お客さん目が高いねぇ」と言いました。骨董屋の常とう句と知りつつ、そう言われると、ついつい嬉しくなってしまいます。
「とっても珍しいものだよ」
確かに珍しいと思いました。お値段は、高いものには手を出さない私にとってはちょっと高めでしたが、買えないほどではありませんでした。

「カモを彫る人が、子供にせがまれて、木端でつくったのかしら」、なんて、ついつい想像してみてしまいます。




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