2011年11月21日月曜日

わさびのビン





骨董市で、きったないビンを見つけました。傾いたまま、蓋が錆びついています。
「蓋は開くのかしら?」
と聞いたら、
「う~ん。やってみるか」
と、割れたら元も子もないのに、骨董屋さんが無理やり開けてくれました。

その骨董屋さんは、細々したものをいっぱい持っていますが、いつも、半分は段ボール箱の中で新聞紙に包んだままです。あんまり細々しているので、出し切らないうちに一日が終わってしまうようです。
そして、例えば石蹴りでも、あっちに一つ、こっちに一つと散らばっていて、しかも他のものの下敷きになっていたりして、なかなか全貌はつかめません。

「これは珍しいビンだよ。見たことないもの」
「洗ったら、きれいになるかしら?」
質問ばかりです。
「なるなる」
半信半疑でしたが安いので買ってきました。

「こっちのビンは高いんだ」
と見せてくれたビンは、コカコーラのビンです。
「初期のビンで、アメリカのものだけれど、あまり古いから、銀化しているんだ」
「ふ~ん」
まるで新しいもののように透き通ったビンの一部が、きらきらと虹色に光っていました。
値段は聞きませんでした。




さて、きったないビンは、洗うと簡単にきれいになりました。
「髙砂山葵會社」のエンボスがあります。

ネットで調べてみたら、ロシア語らしいサイトにヒットしただけ、画像は見つかりましたが、髙砂山葵會社がどこのどんな会社かは、さっぱりわかりませんでした。




ビンを上から見ると、口が楕円形です。
道理で、蓋がうまく閉まらなかったわけです。
それにしても、こんなゆがんだ口に、無理やり丸い蓋をしてわさびを詰めて売っていたのですから、驚きです。




ブリキの蓋は、何かの廃物利用のようです。
腐って炭化した紙をはがすと、模様が見えました。

古いビンで、楽しい一日を過ごしたことでした。






2 件のコメント:

Shige さんのコメント...

わさびの壜、わびも、さびもありそうな雰囲気ですね。
昔の壜はこのように歪なもの多すぎますね。今の規格化された壜に慣れたわたしたちには、味があるように思える壜ですが、当時の人は「これってハネモノじゃね~か!」なんて言いながら使っていたのかも知れません。
型に入れて作られた壜、昔は町工場で作られていたようですね。

そういえば、この蓋で思い出しましたが、子供のころのブリキの玩具、この蓋のように他の製品をリサイクルしていたのか、裏側に他のものがプリントされていたヤツありました。

さんのコメント...

Shigeさん
いかにも、町工場でつくられた雰囲気です。きっとガラス屋さんと、ブリキ屋さんが近くに住んでいて、協力してわさび屋さんに卸していたのでしょう。

今でも南米のブリキのおもちゃや、アフリカの楽器には、空き缶のリサイクルがよくありますが、日本でもあったのですね。
技術が高いのか、単に材料費を抑えていたのか、薄い薄いブリキです。