2024年5月23日木曜日

李朝の米研ぎ鉢

しばらく前に、骨董市のまことさんの店頭に、李氏朝鮮時代後期の米研ぎ用くり抜き鉢が置いてありました。
「珍しいなぁ」
私が10年前に買って以来、初めて見かけたものでしたが、その時の3倍以上のお値段がついていました。


「まことさん、この米研ぎ鉢は、高いのねぇ」
「あぁそれ? ちょっと昔の値段をつけてみたんだ。昔は結構高かったからね」
そうか、昔むかしは高かった。そして、私が買った時は安かった。そしてまた、「それはおかしいだろう」と、昔の値段をつけてみたようでした。


鉢は、使い込んで剥げていますが、漆を塗ってあります。直径42センチ、高さ9センチと、米とぎ用として実際に使ってみるには大きすぎます。
こんなに大きな米研ぎ鉢を使うなんて、朝鮮でも日本のように、昔はお米をたくさん食べただけでなく、ご飯を炊くのは大変な手間なので、1日1回だけまとめて炊いていたに違いありません。


鉢の内側にはたくさんの溝が彫ってあります。
昔は精米機の性能がよくなかったので、何度もこすりつけて、お米をよく研ぐ必要があったのでしょう。


松材でできた米研ぎ鉢、底はノミで削ってあり、平らではなく丸みを帯びています。
底に丸みがあれば、平らな台の上でも、土の上でもどこにおいても安定します。そして、水も入れて重くなったときにも傾けたいときは楽に傾けることができる、機能的な形につくられているのです。

米研ぎ鉢があるなら、朝鮮の米揚げ笊はどんなものだったか、ちょっと気になります。





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