M+M家の一人娘のSちゃんは、舞台俳優さん。ロンドンに住んでいますが、今年はアジア公演があり、中国各地やマカオを回り、あとは台湾公演を残すのみというところで2週間の休暇があって、日本に里帰りしています。
Sちゃんから、公演のスタッフなどへのお土産を買いたいのだけれど、この辺りではどこで買ったらいいだろうと訊かれて、
「益子かなぁ」
と答えました。益子には焼きものだけでなく、工芸品の充実したお店もいろいろあります。Sちゃんは、木の匙や劇にちなんだ虎に関するものが買いたいとのことでした。
最近、M+M家の老犬トビーの具合がよくなくて、Mちゃんはトビーを病院へ連れて行ったり看病したりと忙しいので、私が案内役を引き受けて、SちゃんとMくんと一緒に益子をまわりました。
まずはおしゃれな小物の店G+OOへ、Sちゃんは虎のぬいぐるみや猫(虎の代理?)の眼鏡ケースなどいろいろ買い、次は陶庫に行きました。
陶庫に、三輪織物の柳格子の小風呂敷がありました。
三和織物は福島県伊達市にある、機械織りで刺し子したような布をつくる工房です。
この柳格子の「柳」は、三輪織物四代目が、民藝運動の創始者の柳宗悦の甥である柳悦考さんに師事して刺し子織りの開発に取り組んだ経緯があるので、柳さんから名前をもらった「柳格子」だと思われます。
柳格子を手に取って見ていると、Mくんが来ました。
「やっぱり、布が気になるんだ」
「うん。これねぇ、普通機械では織れないような経緯模様(たてよこもよう)を織った布なの。ネットショップで見てもどこも売り切れで、ここで売っているとは思わなかった!」
「じゃぁ、買うしかないじゃん。いくらなの?」
「大風呂敷が7,700円、小風呂敷が2,750円」
「小さいのは、そんなに悩まなくても買えるでしょう?」
というわけで、このサイズの小風呂敷はたくさん持っているのに買ってしまいました。
次は内町工場です。
アルマイトの弁当箱やおかず入れ、ステンレスのおかず入れなどが並んでいましたが、一番古そうで一番安い(これは300円、ステンレスのおかず入れは500円)おかず入れを買ってきました。
ほかのおかず入れは、押さえ金が金属ですが、これは木でできています。
蓋に貼ってあるパッキングは劣化していて、おかず入れとしてはもはや使えませんが、ボタンを入れようと思っています。
最後に、人里離れたもえぎ本店にも行って、いざ帰ろうとしたらSちゃんが、
「今見つけたんだけど、近くに家庭料理屋さんがあるみたいなのでお昼を食べませんか?」
と言います。見るだけ見てもいいかと言ってみました。
こんなところにお客さんが来るのかしらと思われる山奥にあったお店ですが、結構混んでいました。
待つことしばし、家庭料理と名乗っているのに家庭では決してつくらないような手の込んだ料理の数々、おいしくいただきました。
庭には何故か等身大のラクダがいます。遠目には焼きものにしか見えず、どうやってあんなに大きなものが焼ける? といぶかしく思っていたのですが。これは焼きものではなくプラスティック製だとのことでした。
アブダビでMちゃんと一緒に本物のラクダに乗ったことのあるSちゃんが、ラクダに乗ってみました。
益子散策の小さな旅でした。
4 件のコメント:
風呂敷はパッチワークのように見えますが、織った布なんですね!
妹がオーストラリアでラクダに乗ったと言っていたことを思い出しました。立ち上がる時前のめりで怖かったそうです。
hiyocoさん
織り物は経糸を張ってそこに緯糸を通して織るので、おのずと限界があります。それを紋織り(帯やネクタイ)のように、手織りのときは「手間」で解決してきたものは、機械になってパンチカード→コンピュータで解決してきました。あるいはアフリカの布のように細く織ったものを何枚もつなげて複雑な模様をつくってきました。
この布を機械でつくるのは、本当にすごいことに思えます。
妹さんもラクダに乗りましたか!
MちゃんSちゃん母娘がラクダたちに囲まれている写真を見せてもらいましたが、ラクダが客を噛まないように全部口に袋をかぶせられていました(笑)。ラクダって嚙むんだなと思いました。
ソマリアの田舎の難民キャンプではラクダ肉のパスタを食べました。そこに赴任していたIくんが機関紙に、「来る日も来る日も同じ、ラクダ肉の日替わらない定食」という文を載せていたので、食べるのは楽しみにしていました。今では肉が固かったか軟らかかったか忘れてしまいましたが、1㎝くらいのサイコロ状に切った肉がスパゲティーの上にごろごろ乗っていました(笑)。ソマリアはイタリアの植民地だったので、どこでもスパゲティーが食べられたのです。鎖国状態の今、彼らは相変わらずスパゲティーを食べているのかしら?
イタリアが植民地を持っていたなんて知りませんでした。エチオピアもそうなのですね。全然イメージないです。
hiyocoさん
ソマリアでスパゲティーを食べているって、寂しいですよね。ソルガムやヤムを食べている地域の方がずっと幸せそうでした。
誰かに植民されるということは本当に悲しいです。南アのヨハネスブルグのスラムで、たった畳1畳か2畳の庭に、野菜などを植えないできれいな芝生の庭をつくっているのも悲しいものでした。手本は白人の大邸宅なのです。
また、やはり南アの田舎の農家で、外にあるお手洗いがポットンで便座を木でつくっているにもかかわらず、しゃがんで用を足すのではなく、朽ちそうな木の便座に座って用を足さなくてはならないのも寂しいものでした。伝統的なお手洗いがあったにもかかわらず、すっかり失われて手本は洋式便所しかなかったのですね。
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