2016年2月28日日曜日

瓦屋さんの仕事

職人さんがいるとき、あまり近づいて邪魔されたくはないだろうと、いつも遠くからその仕事ぶりを眺めているだけです。
でも、二階の床を貼っていると、そぐ目の前に下屋の上で作業する瓦屋さんが見えます。職人さんは、寡黙な人がほとんどですが、ついつい声をかけてみたくなります。
夫が「のし瓦」と言っていた瓦のことを訊いてみたら、ちょっと考えてから、「風よけ瓦」と教えてくれました。


この、瓦と壁の取り合いのところに葺く瓦です。


のし瓦は、平らで、ちょっと太鼓に膨らんでいる、桶の一片のような形の瓦ですが、突起のあるものとないものがあります。
それを軽くたたくと、あらかじめ割れるように線が入っているので、きれいに二つに割れます。


壁との取り合いの部分に、「土」と言われている黒い漆喰を厚く盛ります。「土」は白いものもあります。昔はしっくいに墨を混ぜてつくりましたが、今は既製品があります。
この「土」をつくる工場の多くは三陸海岸にあり、2011年の地震や津波で被害を受けたので、瓦屋根の修理がなかなかできなかったという経緯がありました。

「土」を盛ると、真ん中あたりから決めて、割ったのし瓦を置きます。


一段目は突起のついたものを置き、二段目は平らなものを乗せます。


風よけが完成したら、残しておいた寄棟の棟瓦を仕上げます。


棟瓦は、風よけ瓦と同じ、突起のついたのし瓦を二段積んだ上に、半円筒形の瓦を乗せています。


きれいにできあがりました。
このあと、瓦屋さんたちはこてで、のし瓦の下の「土(漆喰)」を、かりかりと、丁寧に丁寧に仕上げていました。
身体も首も曲げないと作業できません。私ならちょっとやっただけで足がつったり首が痛くなったりしそうですが、こての仕事は二時間も続いたでしょうか。
見えないところですが、つるつるになりました。

女性も、屋根の上をひょいひょいと歩くことはできますが、重い、四枚を束ねた瓦を両手に持って歩くとなると無理な気がします。
日々痛感することですが、男性と女性では身体についている筋肉の量が違います。

その昔、酒屋のおかみさんが、2ダースのビールが入ったビールケースを一人で持ちあげているのを見て、びっくりしたことがありました。
そして、男性がそのケースを二つ重ねて持っているのを見て、もっとびっくりしました。私なら、一つでも到底持てなかったからです。
大工さんも重い材木を持つこともありますがいっときで、四六時中ではありません。

男女平等と言いますが瓦屋さんを見ていると女性にはできない仕事のように思えてしかたありません。






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