骨董市で、水屋さんの店をのぞいたら、刷毛がありました。
水屋さんはこれまで、ただの「馴染みの骨董屋さん」 と書いてきましたが、古いつき合いでそれではかわいそう、名前は知りませんが、水屋を買ったときに知り合ったので、以後、水屋さんと呼びます。
「この刷毛は何の刷毛?」
「漆道具と一緒に出てきたから、漆家さんの刷毛だよ」
「へぇぇ。漆がついてないねぇ」
「なんか、泥みたいなのがついているだろう?たぶん、漆を塗る前に木地を磨くとき使ったんじゃないかなぁ」
と水屋さん。
「そうか、砥の粉で目地を埋めたのか」
この刷毛は、繊維をざっとまとめて刷毛として、それを杉の板二枚で挟んで持ち手にしています。
繊維は、カラムシとかシナノキの繊維に見えます。大麻かもしれません。
剥げた漆の下から覗いている杉に、年季が感じられます。
「刷毛はもう一つあっただろう?」
「えっ、見なかったよ」
刷毛を置いてあったところを見ると、他のものに毛先が隠れていた、もう一つ刷毛が出てきました。
こちらも、毛先に色はついていますが、漆はついていません。
朱漆を塗るときは、目地を詰める砥の粉に、赤い粉を混ぜたのでしょうか?
持ち手はこちらも漆を塗った杉板ですが、繊維のまとめ方が、もう一つの刷毛と違って、中でしっかり束ねてから、杉板で挟んであります。
素敵な道具たちですが、毛先が短くなりすぎてもう使い物にならないのでしょうか?それとも、漆家さんを、廃業してしまったのでしょうか?
二つで500円でした。
刷毛、好きです。
この二つは、機織り(はたおり)のとき、経糸(たていと)が切れないように湿らすための刷毛、韓国のものです。
左は箒草、右はシュロの繊維でできているようです。
エチオピアの挽いたコーヒーの粉を掃き集める刷毛は、イネ科の草(通称ギニアグラス)のしべでできています。
どの刷毛も、近くで手に入る材料でつくっているのが素敵なところです。
カンボジアの、やはり機織りのとき経糸を湿らせるための刷毛は、ヤシの繊維でできています。
これはタイの刷毛、お尻がまん丸くなっていて、膠のようなもので固めてあります。
先日、母のところに障子張りの手伝いに行きましたが、我が家の引き出しを探しても糊を塗る刷毛がありませんでした。前は、必要もないのにいくつかあったはずでしたが。
妹も持っていなかったので、妹の筆を借りて糊を塗りました。
そういえば、障子張りのために、昔はどこの家にも幅広の、ずんぐりした黒い毛の刷毛がありました。
2 件のコメント:
どこの家でも障子と刷毛はありましたね、
障子を破るのが面白いので子供時代は、、、、
取っ手の処は斜めに切るのが面白くて加勢しました。
炭鉱時代は歩き始めたお助けたちがよく破ってくれましたよ。
お手玉は小豆でしたが九州にきてハゼの実を初めてみました
今でもかぶれるでしょーね。
昭ちゃん
今は、刷毛などいらない暮らしですね。障子紙も糊つきのものも売っています。
昔の人は一年に一度は障子を張り替えました。和紙だったはずですが、品質が違ったのかしら?母のところのは、家を建てて以来張り替えたことがない(いったい何十年だ?)ものだったらしいし、うちのももう7年になるのに張り替えていません。まあ、きれいです。
母のところのは、ものがぶつかって破れたのですが、妹夫婦と、昔の人は洗濯機も掃除機もなくて家事が大変だったのに、よくやったねぇと言いながら張り替えました。
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