動くおもちゃです。
丸い錘を前後に振ると、勢いよく歩きます。
男性か女性かわかりませんが、スカートをはいた女性というよりは、フロックコートを着た男性というところでしょうか。
帽子が欠け、両方の足先が欠け、右手が失われています。
人形が左右に寄らないように針金に被せている細い筒は木で、こんな細い木に穴を開けるのは、ひと手間ですが、竹がないヨーロッパの人にとっては、何でもないことだったのでしょう。
よくできていると思われるのは、回り方に限界がなく、自力では回りませんが、手を添えてやれば、人形が下に来ることもできます。
轆轤(ろくろ)細工は確かです。
イタリアのおもちゃらしい。
ダメもとで右手をつくってみます。
ヨーロッパだと、材料はブナ、ニレ、トネリコといったあたりでしょうか。シラカシだとちょっと質感が似ますが、硬くて加工しにくいので、柔らかい杉を使いました。最初から手を抜きっぱなしです。
糸鋸を出すのも面倒なので、薄い板は鋸でざっと切った後、ナイフで削って、オリーブオイルをしみ込ませました。
問題は釘です。
すごいなぁ、こんな細い釘をつくっていたのです。
バンコクに住んでいたとき、馴染みの額縁屋さんから、
「タイでは細い釘が手に入りにくくなった。日本に一時帰国したとき細い釘を買って来て欲しい」
と頼まれて、いろいろ探し回ったのですが、その当時からホームセンターなどには細い釘は売っていませんでした。
ちなみに、タイでは絵を額縁に収めると、裏に細い釘で薄い板(現代は合板)を打ちつけ、その上から水張りテープを貼って仕上げます。
長さは切ることができたけれど、太すぎるのはどうするか?
直してあるものは、なんとなく親しみが持てます。
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