2025年10月6日月曜日

猫神さま日和


招猫倶楽部の会報『福の素』74号に、「猫神信仰と丸森町(宮城県)の猫」という特集記事があり、その中で『猫神さま日和』(八岩まどか著、青弓社、2018年)という本が紹介されていました。
なぜ、招き猫が生まれたのか、猫への信仰はいつどう始まったのかなどなど、少しははっきりするかなと、買ってみました。
著者の八岩さんは、20代のころから昔ながらの湯治場をめぐり、温泉の歴史、文化、民俗に興味を覚えて執筆活動を開始された方だそうです。
猫神への信仰に関することに関しては、情報社会ではあるとはいえ、いったいどこでその情報を見つけたのか、紹介場所は広域にわたっています。そして、猫神信仰のある場所に赴き(もしかして空振りもあったのか?)、足で歩いて猫神信仰の証拠を見つけるだけでなく、そこに伝わる伝説なども聞き出し、それを淡々と紹介している面白さ、一気に読んでしまいました。


目次は、
 
 養蚕の守り神
 猫又と化け猫
 猫の恩返し
 守り神としての猫
 貴女・遊女と猫
 福を招く

となっていて、猫への信仰が、立体的に浮かび上がります。
猫神信仰は各地で、養蚕が盛んになった江戸時代以前の安土桃山時代からあったようです。

鹿児島県の猫神神社

日本には、縄文の昔からヤマネコはいましたが、イエネコは奈良時代から平安時代にもたらされたとされています。大陸から仏教の経典などを運ぶ際に、ネズミにかじられないように船に猫を乗せてきました。

京都府の木島神社

それほど、人と猫とは古いつきあいでありながら、国民的なおとぎ話には、犬は出てきても猫が出てこないのは不思議です。
しかし、各地の伝説には猫がよく登場していることを知ると、「昔語り」から「おとぎ話」が選定されたとき、猫の話は道徳的な教訓を含んだものではなかったため、無視されたのかとも思いました。

栃木県の金花猫大明神

猫神信仰は養蚕の隆盛とともに各地で盛んになりましたが、養蚕の衰退とともに消えていきました。

熊本県の生善院

今では、鼠害除けというより、愛猫の健康を願って詣でる人たちが多いそうです。

余談ですが、招福猫児で知られる世田谷の豪徳寺は、かつては訪れても人影がまばらでしたが、聞くところによるとSNSで情報が拡散されたらしく、インバウンド、とりわけ中国からの観光客で押すな押すなの大盛況らしいです。

静岡県の御前崎





1 件のコメント:

尾張屋反米 さんのコメント...

猫神様は同じく宮城県の村田町の歴史みらい館の現館長が長く調査研究されており、丸森町の猫神さまにも詳しく、つい先日まで歴史みらい館で企画展をされていました。青森の蓬田村の蔵の猫碑を見に一緒に行った事もありました。
丸森町は蚕紙の会社があり、それを守るために猫を飼われたと聞いています。機会があれば是非村田町歴史みらい館にもいらして下さいませ。