2009年11月16日月曜日
台所道具 すり鉢編
ゴマをする頻度はかなり高く、そのたびにすり鉢が登場します。また、春には山椒をすり、味噌を加えて、筍や、他の野菜を和えたりもします。
一番奥のすり鉢は、この地域(北関東)の古いもの、大きいので大人数用に便利、かぼちゃひとつをまるまるゴマ和えにしたりするとき使います。
その右前の底の平らなすり鉢は、私の父の実家にあったものです。実家は硬質な備前焼きの近くなのですが、このすり鉢は比較的柔らかい土でできていて、したがって筋目も磨り減っていて、もうすり鉢として使うには無理なものです。
手前右は、辰巳芳子さんの推薦している、九州、小鹿田焼きのすり鉢です。欧風のすりこ木がすてきです。
あとの二つ、丸っこいものは、九州、小石原焼きのものです。小鹿田と小石原の出番はしょっちゅう、どちらも使いやすいすり鉢です。
友人のつくった、かわいい卓上用のすり鉢もあります。とはいえ、ゴマをするときはたっぷりするので、この小さいすり鉢はもっぱらミルク入れとして使っています。
すり鉢と同じ頻度で使うのがこの、タイのクロックです。タイには石のクロックもありますが、私はタイで暮らしはじめた最初からこの素焼きのクロックを使っていたので、もっぱらこればかりです。1980年に買ったものですから、このクロックも相当なご長寿です。
1998年から3年間、カンボジアのプノンペンで暮らしました。スーツケース一つで赴任したので、アパートが決まったとき、市場に行って最低の生活道具を揃えました。
そのとき、これと同じクロックを買って、ビニール袋に入れてもらって、市場を出たところで、「あなたはタイ人ですか?」というタイ語が、どこからか聞こえました。「えっ。私のこと?」と、きょろきょろしましたら、タイ人ではなくて、西洋人がこちらを見ていました。目が合うと、クロックを指差します。「タイ人じゃないよ。日本人だよ」と、私もタイ語で応えて別れました。クロックを見てタイ人と思うなんて、彼もタイで暮らしたことがあるに違いありません。
タイでは、どこにでもクロックがあります。レストランにも、屋台にもあるし、農家にもあります。クロックでトウガラシをたたきつぶし、にんにくもたたきつぶし、ナムプラーやライムの絞り汁を入れて、たれをつくったり、それに春雨、魚介類、青いパパイヤなど入れて和え、サラダをつくったりします。リズミカルな、「こっこっこっ」という音が、どこからでも聞こえてくるのです。
私はタイ料理を作るときだけでなく、クミン、シナモン、カルダモンなど、インドのスパイスを粉にするときにも、クロックを使っています。
乳鉢は、コーヒー豆をつぶしたりするとき使いますが、すり鉢やクロックに比べると出番は多くありません。スパイスもつぶしますが、ついついクロックに手が伸びてしまいます。
これはドイツ製の木の乳鉢です。形が気に入って買ってしまいましたが、しみがついたりしないよう、今のところもっぱら戸棚の飾りです。それでなくてもものが溢れているのですから、飾りなんて必要ないのですが...。
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2 件のコメント:
はじめまして。
すり鉢を検索中にこちらに来ました。
町のアジア食品店で見かけたタイ製のすり鉢は、クロックというものなんですね。そちらの写真とは違って、すり棒はどう見ても椅子の足のような形態なんです。ネジ穴もありましたよ(笑)
他のお話と写真も、たいへん興味深いです。
BlueMoon102さん
はじめまして。コメントありがとうございました。
すり鉢に関心がおありですか?私もすり鉢が大好き。でも、もうあり過ぎるほど持っているのでこれ以上増やさないように気をつけています。と言いながらあれからもインドネシアの石鉢とか、ガラスの乳鉢とか増えているみたいです(笑)。
クロック便利ですよ。深いので飛び散らないし、ピーナツなど叩くと、よい感じに半殺しになります。
磨り棒が椅子の足って想像できません。廃物利用かな?普通はココヤシやオウギヤシの幹でつくります。
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