2014年5月14日水曜日

招きネズミ

京都の清水寺への参道、産寧坂や清水坂の両側には、お土産もの屋、お休み処、焼きものの窯元などなど、素敵なお店が並んでいます。 その中に、オリジナルの小さな土人形を、通りから見えるショーウインドウいっぱいに並べているお店がありました。
他の土産もの屋にも並ぶ豆人形や計り人形とはつくり方が違うのか、どれも素敵な人形たちでした。
ただ、わざわざ寄ってみても、閉まっていることが多かったお店なので、今でもやっているかどうかわかりません。


そのお店の招き猫です。

猫は、もともと野生のリビア猫が家畜化されたもので、日本には最初、奈良時代に経文と一緒に中国からやってきました。経文がネズミにかじられたりしないよう、船に乗せられてきたのです。それが全土に広がりました。
二度目に日本に来たのは、ヨーロッパの船が長崎に来るようになった江戸時代です。マレーシアあたりにいた尻尾の短い猫が、積んだ食料をネズミに食べられないようにと乗せられてきて、西の方から広がったので、今でも関西以西には尻尾の短い猫が多いそうです。

日本で、猫が招き猫として愛されたり、信仰の対象になった経緯は、不思議ではありません。とくに養蚕農家では、蚕をネズミに喰い荒らされてしまうのを防ぐため、猫を大切に飼い、猫の神さまを祀ったりもしました。
私は、写真でしか見たことがありませんが、養蚕の神さまを祀る神社の中には、狛犬ではなく、石の猫像を置いているところもあります。


右のちょっと小ぶりの猫も、清水の猫です。


これは、やはり同じお店の招きネズミです。
経文やお米をかじってしまう、嫌われ者のネズミのはずなのに、どうして招きネズミになっているのでしょう?

実は、ネズミの人形はいろいろな地域で見られるのです。
ネズミはすぐ増えてしまいます。その多産にあやかり、子孫繁栄を願っているのです。


とくに「俵ネズミ」は、五穀豊穣と子孫繁栄を願う、欲張りな組み合わせです。

いま、農村では深刻な後継者問題に直面しています。
自分は農業を継ぎたくなかったけれど、長男だから仕方なく継いで家を守って来た、でも子どもたちには高い教育を受けさせた。子どもたちは卒業して都会で就職した。東京だけでなく、遠いニューヨークで働いている子どももいるが、都会で生まれ育った孫たちは、そこの生活しか知らない。しかし、自分たちはいよいよ老いて、行く末が心配になって来た。農業は継がなくてもいいから、なんとか帰って来て、先祖代々の家にだけは住んで欲しい。

右を見ても、左を見てもそんな人ばかりいます。


招きネズミへを信仰すれば、なんとかなるでしょうか?
いえいえ、今からでは、間に合いそうにありません。

それにしても、このネズミたち、猫よりずっと恰幅がよいのです。






5 件のコメント:

bluemoon さんのコメント...

機会が訪れたら清水寺に行くことを考えていますので参道のお店をしっかり見ながら歩かなければ。グリコのおまけを見に江崎博物館にも行こうと考えていましたが兵庫県の玩具博物館にも行きたくなってきました。なんと言っても、見たくて見たくてたまらないのは春さん宅です(笑)

さんのコメント...

bluemoonさん
あはは、よかったら来てください。東京から2時間くらいです。泊って行ってください。離れの宿泊所があります。
清水坂も楽しいけれど、産寧坂がお勧め、八郷神社から登って来て、清水坂との合流点の真ん中くらいに、その店はありましたかね。なにせ20年も行っていないから(笑)、全然違っていたりして。
私もいろいろ行ってみたいけれど、留守番できない犬たちを抱えていて、身動きがとれません。

bluemoon さんのコメント...

よろしいのですか(嬉々)行きます!泊まります!天井障子の奥に書棚がある部屋に寝転んで上を見上げさせてくださいね(笑)残せられない集められない生活路線のうえにいますが、子供たちの粉ミルクのプレスチックのスプーンの形がメーカーごとに違っていたのを面白いなぁと思い残していたような私です。隅から隅まで見せてください。うれしいなぁ、楽しみだなぁ。その節はどうぞよろしくお願いします。

bluemoon さんのコメント...

建物と居住空間をお造りになっている春さんとご主人様にお会いできる時がとても楽しみです。私が尋ねたことに直接お答えして頂ける。これは贅沢なことです。いつになるのかぜんぜんわからないのですが想像するとワクワクドキドキなので、またコメントを書きました(笑)

さんのコメント...

bluemoonさん
まあ、がっかりしないといいですね。「なあんだ」なんて(笑)。こちらも楽しみに待っています。また、どうやって連絡をとるか、考えましょう。