かわまたさんは、加波山の向こう側で有機農業を営んでいますが、ときどき八郷在住の有機農家の人たちと種の共同購入をしたり、種を交換したりすために山を越えて八郷に来ることがあり、そんなときには寄ってくれるのです。
八郷の有機農家はたいてい余所から来た人で、ほとんどが都会育ちの人です。この土地に育った人で有機農業を営んでいる人は、豚飼いのみわさんを除いては、もしかしたらいないかもしれません。
そんな中で、かわまたさんは珍しく「有機農業をしている地の人」です。もっとも、彼も三十年以上も都市生活をしていたのですから、純粋な「地の人」とは、言えないかもしれません。
以前は畑にも精出していましたが、キビを雀にやられたり、ジャガイモをイノシシにやられたりして、気持ちは、すっかり後退してしまいました。
しかも、畑として使っていたところに仮の作業場や材木置き場をつくったので、余儀なく別の場所に移り、今では家の北側の、わずかな斜面を畑にしているにすぎません。そして、数えるほどのものしかつくっていなくて、夏野菜からもすっかり遠ざかっていました。
トマトは、先月株分けしたねぎと並べて植えました。
トマトは茎が太く、重量もあるので、しっかりした支柱が必要です。以前はパイプを組んで、伸びた茎を紐で吊ったりしていましたが、土地は平らではないし、狭いし、面倒だなぁと考えていたら、フィリピンの北ルソンのインゲンの支柱を思い出しました。
あれだったら、ある材料でできます。
まず、まっすぐな篠竹を切ります。
だいぶ周りはきれいにしましたが、まだまだ、篠竹はいくらでも生えています。
50本ほど切り出して、枝を払います。
「いったい、鉈はどこにいっちゃったの?」
日本の鉈が見えなかったので、しかたなくカンボジアの鉈を使います。
枝を落としました。
斜めに等間隔で、竹を立てます。
鉄棒を叩き入れて穴を開け、竹をそこに刺しましたが、頼りなくふらふらしています。
一方向に刺し終わったら、反対傾斜にした竹を交互に、布を織るように、籠を編むように、くぐらせながら通して、立てていきます。竹はしなやかですから、難なく作業できますが、編み進むごとに、ふらふらしていた竹がしっかりしてきます。
フィリピンで見たときは、どうしてこの支柱と直角に支えをしないのかと、不思議に思ったことでした。普通、支柱は倒れないように立体的につくりますが、これは平面です。
でも、どこのを支柱を見てもしっかり立っているので、十年ほど前に自分でもやってみました。すると、嘘のように強固で、強い風でも、台風でさえも倒れませんでした。
しかし、これはインゲンの支柱です。重いトマトに耐えるでしょうか?
フィリピンでは、たとえばハヤトウリは、まるで並べて立てた傘のような支柱でした。ハヤトウリの蔓は長く伸びて、放っておくとどこまでも行きますが、それをぐるぐると小面積に収めるのです。見たことはありませんが、きっとトマトにはトマト用の、素敵な支柱の形もあるはずです。
まあ、重くなり過ぎる心配をするより、トマトがよくできるかを心配した方がいいかもしれません。野菜も愛情をかけると応えてくれますが、放りっぱなしではいじけてしまいます。
最優先は建設仕事、次が草むしりや草刈りや植木の選定などの庭仕事、次がやはり草刈りや枝切りなどの山仕事、そして次にやっと畑仕事の私ですから、あまり期待できません。
この支柱のいいところは、まったく紐を使わずにできることです。
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