この籃胎(らんたい、籠で形をつくりその上に漆を塗る)の蓋ものを、タイのチャトチャック(週末市場)で見つけたのは五年前、久しぶりにタイに行ったときのことでした。
籃胎にしては珍しい形をしていました。
推測するに、これは籃胎用の独自の籠を編む手間を省いて、ラオスやタイ東北部でつくられる、蒸したもち米を入れる籠を買ってきて、漆を塗り、(きんま)を施したもののようです。
内側を見ると、伝統的な籃胎の下地をつくるのとは、まったく違う方法で竹を編んでいることがわかります。
右と下は、ビルマの古い箱の蓋の内側で、糸のような細いひごをまわして編んであります。
細いひごで、平らに編んだり、急な角度で曲げたりするのは難しい技なので、最近はあまりつくれる人がいなくなったのでしょうか?
あるいは、漆を塗っていた人が、いつもと違う形でやってみたかったのか、お土産ものとして、簡便につくりはじめたのかもしれません。
蓋の縁は、籠目が波打っていますが、伝統的なビルマの籃胎には、このような形はありません。
伝統的な籃胎の蓋ものは、蓋を閉めると見えなくなるところも、手を抜かず、見えるところと同じ模様を施していますが、これは、悪くはないとはいえ、違う(手を抜いた)模様が施されています。
もしかしたら、ビルマではなくて、タイ北部でつくられたのかもしれません。
でも、楽しくてのびやかな模様です。
漆を塗ってしまったら、湿気を吸い取りませんから、蒸したもち米を入れるなら、竹籠のまま方が、きっとおいしいと思います。
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