2017年8月17日木曜日

織り機の原型

Mr. T's Country Lifeより

ネットでマリのドゴンの穀物蔵をさがしていたとき、織り機の写真に行き当たりました。
「手織り機」と検索しても、なかなかバラエティに富んでは出てこないのに、ひょっこりと出てきてくれると、嬉しくなってしまいます。

この写真では、織りあがった布が、巻き取り棒に巻き取られてなくて、下にたまっているので、巻き取り方法がどうなっているかわかりません。
西アフリカの織りものは、細い布を長く織ってつなぎ合わせて広い布にします。巻き取った部分が太くなりすぎて、お腹に当たって支障があるので、織れたら外して、こうやって別に巻き取っているのかもしれません。

『日々織々』より

西アフリカで、やはり細い布を織るガーナではどう巻き取るのだろうと探してみましたが、この写真はまだ織りはじめのようでした。巻き取った布はこれから、巻き取り棒の上でどんどん太くなっていくのか、あるいはドゴンのようにわきに置いていくのか、わかりません。

『日々織々』より

これは、上と同じ織り手を、織り機の反対側から見たところです。
綜絖(そうこう)は紐で足踏みペダルとつながっていて、経糸(たていと)の上げ下げを足で操作しているのがわかります。
ところで、最初の写真のドゴンの織り機は、置いてある籠が邪魔で、足踏みペダルがあるのかないのか、ちょっとわかりませんが、たぶんあるのでしょう。

ちなみに、アフリカではほとんどの地域で、織りものは男性の仕事です。
また、こうやって織りあがった手織り布を商うのも男性の仕事ですが、工場製品の布は、女性が商います。


これは、カスピ海の西に位置する、アゼルバイジャンの少数民族の織り機です。
織り進むにしたがって、筬(おさ、あるいは綜絖)を吊るした三脚を前へ前へと動かしていき、織りあがった布を巻き取らなくても、織り進むことができます。広い場所があればこその織り機です。
経糸の両端をどう止めているのかこの写真ではわかりませんが、杭でも打っているものと思います。
ところで、綜絖は織り機の要の一つですが、一体どうなっているのか、ちょっとわかりません。

後ろの写真の日干し煉瓦の建物から、織り手は移動民ではなく定住民と思われますが、夜は吊っている筬(あるいは綜絖)の紐をほどいて、 くるくると丸めて室内に取り込むものでしょう。


カスピ海を挟んで対岸に位置する、トルクメニスタンのおもちゃの織り機です。
かっわいい!なんて素敵なのでしょう。
これを見ると、経糸を前後にどう固定しているかがわかります。
(上の二枚の写真は、ずいぶん前に行き当たったもので、出典がわからなくなってしまいました。無断借用です。ごめんなさい)

『日々織々』より

アジアの地機(じばた)になると、日本もそうですが、腰に紐を巻いて、自分の重さで経糸を引っ張ります。
これは、東南アジアの山地に住むカレン人の織り機です。
一段ごとに綜絖(白く見えるもの)をかわりばんこに手で引っ張り上げて、経糸を一本置きに互い違いに高くしたり低くしたりして、その隙間に刀杼(とうじ)を寝かせて通します。その刀杼を立てると、経糸が十分開くので、そこに緯糸を巻いた杼を通して、織り進みます。この写真は、刀杼を立てているところです。
そして、筬はありませんが、刀杼を寝かせて、筬代わりにして、織った部分を締めます。

こうして見ると、経糸を互い違いに高くしたり低くしたりする綜絖があって、経糸さえピンと張ることができたら、織りものができることがわかります。







4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

段ボールに細長いスリットと小さな穴を交互に開けて、それぞれに糸を通して簡単織機にします…と言うのを目の前で見て、そういう事か!頭いい!と思ったのが結構大人になってからです。いわゆる綜絖でしたが、織物の発明というのはすごいですよね。全世界でそれぞれに発明して発達したものなのでしょうか…?それともアフリカのどこかで始まって、じわじわと広がったのでしょうか?
それにしても地道な作業で出来上がる布なので、縫い物をしてカットした残りの布をなかなか捨てられなくて困っています。(^^;)

さんのコメント...

匿名さんは、もしかしてあかずきんさん?
織りものは中国で発明されました。年代は忘れましたが、4000年くらい前ではなかったかしら?2000年前くらいには、権力者に保護されて、時間をいとわずつくって、織りものは技術の頂点を極めました。以後、技術レベルは衰退しているそうです。昔、西陣の方からお聞きしました。
中国から西と東に伝わって、エジプトのコプト織りが2世紀くらいからでしょうか。ヨーロッパは編み物の方が盛ん、日本も帰化人が織り機をもたらす以前、縄文から編み物はありました。あとは、織りもの以前は毛皮でしょうね。
ブラックアフリカには、16世紀に、大陸の北からイスラム教徒ともに伝えられたと読んだことがあります。熱帯という気候上、布はなくても過ごせたのでしょう。

karat さんのコメント...

すみません。先の投稿に名前を書き忘れました(^_^;)。
発祥は中国でしたか…。羅針盤とかなんとか世界の三大発明と習った覚えがありますが、綜絖を使う織物のほうがすごい発明だと思います。

さんのコメント...

あっ、karatさんだったのか。
すごいですよね、綜絖!ヨーロッパでは小さな穴と溝を交互に開けたのが「紐織り機」などにも使われていますが、普通、綜絖は糸でつくられています。真ん中に小さな「わ」をつくっていて、それを通した経糸はいつも動かず、その「わ」を通さなかった経糸が上下する仕組みです。
普通の織り機ですと、綜絖が2枚か4枚(目が詰んでいるもので、ぶつかりにくくするため4枚使うけど、原理は2枚と一緒)ですが、ラオスなどではそれに加えて、模様綜絖をたくさん使った織りものをしています。

すごいと言えば、織りもの技術もすごいけど、鉄をつくり出したというのもすごいですよね!