2021年5月30日日曜日

お雛三昧


しばらく前、といっても5月の骨董市で、水屋さんの店先にお雛さまが並んでいました。
江戸時代のお雛さまばかりです。


当時の庶民は、絹どころか木綿さえ着られなかった人たちもいたというのに、お雛さまたちは絹の衣装をまとっています。


この日はかなり強い風が吹いていて、背の高い五人囃子2人はひっくり返っていたほどでした。起こしてもすぐ倒れそう、1人は起こして写真を撮りましたが、1人はひっくり返ったままです。
20センチもあるような大きな五人囃子ですから、もし内裏さまや三人官女など全部が揃っていたらどんなにか豪華で、そして場所を取ったことでしょう。

話が変わりますが、水屋さんのお雛さまに出逢う少し前に、土のお雛さまを手に入れました。来年の桃の節句に紹介しようと思っていたのですが、水屋さんの店先でもお雛さまに出逢ったことだし、何だかお雛さま気分。季節外れですが、紹介します。


青森県弘前市の下川原(したかわら)土人形のお雛さま12人揃い、5代目の高谷充治さん(1919-1997年)の作です。
下川原土人形は、1810年(文化7年)に、津軽藩主の津軽寧親が、藩の産業振興のために筑前の陶工高谷金蔵を招いて下川原に窯を築き、陶工たちの冬の副業として人形をつくることを奨励したのが始まりとされています。
下川原土人形は全体に小ぶりで、その多くが笛になっているのが特徴です。土笛は、子どもが土を舐めると虫封じに効くとして、喜ばれました。
このお雛さまも、全員が笛になっています。


お内裏さま。
女雛の袴が、一番最初の江戸時代のお雛さまの袴と酷似しているのが面白い。


三人官女。
学生時代に、友人2人と東北を旅し、そのおりに弘前にある下川原土人形の窯元を訪ねたことがありました。5代目の充治さんは、大正9年生まれで私の父母と同世代。そのときお会いしたのは、充治さんだったか、あるいは4代目の徳治郎さんだったのか、今となってはわかりません。


笛はどれもよい音がします。


右大臣と左大臣。
胸の梅鉢の紋は、ちょっと天神さまを思わせます。そして、虎の上に座っているので、加藤清正をも思わせます。
何か謂れがあるのでしょうか?



五人囃子。
今は7代目の高谷智二さんが土人形の制作を続けていらっしゃいます。
7代目は、雛15人揃いとして三仕丁もつくっていらっしゃるようですが、5代目は三仕丁はつくらなかったのか、12人揃いです。


7代目が型おこしをしているところ


RAB青森放送のサイトから、7代目の制作風景の動画を見ることができます。







2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

仕丁って初耳です。子供の頃のアルバムを見たら、私の背後の雛飾りの5段目にちらっと写っていました(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
泣き上戸、笑い上戸、怒り上戸と言った方が通りがいいですかね。それなら知っていらっしゃるでしょう?
白い衣装を着ているのですが、それは彼らだけ庶民ということだそうです。もともとは白く脱色した着物ではなく、染まりにくいので染めていない麻の着物を着ていたのかもしれません。絹は染まりやすかったけれど、麻は染まりにくかったでしょうから。
三仕丁は、護衛だけでなく雑用もしていたんだって(笑)。私のお雛さまには、昔からいたので、結構親近感がある人たちです。
省かれることも多いみたい。