ヤフーオークションに、ロンボク島の筒杼を出品されていた方が、『THE CRAFTS OF MALAYSIA』(ARCHIPELAGO PRESS、1994年)という本を出品されていました。
紹介写真の中に、刀杼(とうじょ)を使って織りものをしている写真があり、それに惹かれて本を入札しました。
マレーシアには、大きく分けてマレー人(インド・ビルマ民族のササク人)、イギリス植民地時代に分断統治をするために移住が奨励されてやってきた中国系の人とインド系の人、そしてもっとも古くからその地に住んでいたイバン、カヤン、プナン、ルングスなどマレー系の先住民が暮らしています。それぞれ宗教が違い、そのため食品の禁忌が違い、一緒に食べられないものがあるため、なかなか混じり合うことができない、混じり合わないままで共存していかなくてはならないというのが、マレーシアです。
また、マレーシアには森の民から王宮に暮らすスルタンまで、さまざまな暮らし方をしている人たちがいます。というわけで、クラフト、工芸品といっても素朴なものから豪華絢爛で繊細なものまでさまざまです。
この本の目次は、土、繊維(FIBRES、竹、ラタン、その他の草など)、木、繊維(TEXTILES)、金属、その他(ワヤン(影絵)、その舞台、ビーズ細工など)となっています。
さて、私がネットで見たとき惹かれた写真がこれです。
ボルネオ島のサバに住むルングス人の女性が、腰機(経糸〔たていと〕を自分の体重で張る織り機)で腰巻にする布を織っているところです。
いかにも刀杼というにふさわしい立派な刀杼が使われています。それに、この写真を最初に見た時には気づかなかった、もしかしたら竹でできている細い刀杼も使われていてそれも素敵です。大きい方の刀杼は、緯糸(よこいと)を通すときに、立てて経糸を開いて通しやすくするとともに、筬(おさ)として織った緯糸を締めるのに使い、細い方の刀杼は特定の経糸を拾う目的で使っています。
このような紋織りの布が織れます。織りあがった布は身体の幅と同じくらい、細いので2枚つないで腰布(スカート)として使います。
こんな感じに身に着けます。
マレーシアの布としては他に、精巧な紋織り、先住民の経絣、絣とバティクを組み合わせた布、バティクなど、いろいろ載っていました。
私がもっとも関心があるのは、竹、ラタンなどの細工の章です。
持ってる持ってる。
私の持っている籠とほぼ同じつくり方です。イバン人の収穫籠です。
これも持っています。
インドネシアのバリで買ったものですが、これもイバン人の籠です。
プナン人のラタンで編んだ敷物、それぞれの模様に意味があります。
埋め尽くすのは魔よけの意味もあり、黒色のラタンは染めています。
その敷物を編んでいる写真です。
カンボジアで買ったプナンの敷物、我が家では寝室のドアにしています。
Wくんから預かってそのままになっている、プナンの籠もにも、同じような模様が編まれています。
これは、底ではなく口の方から籠を編んでいるところでしょうか?
さて、面白かったのはこの写真です。
「えっ、この水筒を持っているのはプナンじゃないか!」
私がフィリピンの竹筒だとばかり思っていたのは、マレーシアのボルネオ島のサラワクに住むプナンのものだったのです。この水筒は出版社「めこん」の事務所を訪ねたとき、社長で編集者でもある桑原さんから買ったもの、そのときフィリピンの籠と聞いたか思い込んでしまっていました。でもよく考えると、小さなプナンの籠も一緒に置いてあったかもしれません。
買ってから30年以上経ってから、竹筒のルーツがわかったのでした。
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