今更ですが、紙の本と電子書籍はまったく別ものだと得心しています。
漫画も含め、電子書籍を何度か買ってみましたが、あまり読む楽しみを味わえず、買うのはやめてしまっています。
紙の本は、文を読むだけでなく、文字の形や配置、行間も楽しみ、指で紙をめくるときの感触にも喜びがあるのだけれど、電子書籍だと脳の別のところを使って内容だけを追う感じです。
とくに、意匠が好きな本は、何度も開いて、触ってみる楽しみがあります。
たとえば『読む時間』(アンドレ・ケルテス著、創元社、2013年)は、ハードカバーで、布地のような表紙には、原題の『ON READING』と著者の名前だけが記されているのですが、カバーをかけたままで文字が見えるようにデザインされています。
見返し紙はスカーレット(黄色味のない深紅)のラシャ紙、中の写真はすべてモノクロームですが、表表紙と裏表紙の見返しの鮮やかな色が本を華やかにしています。
『読む時間』は、文字通り、本と本を読む人の写真ばかりです。アンドレ・ケルテスの住むアメリカでの写真がおもですが、旅行先での写真もあります。
1915年、ハンガリーのエステルゴム。
1929年、フランスのパリ。
1944年、ニューヨーク。
1962年、ブエノスアイレス、アルゼンチン。
1968年、京都。
1969年、ニューヨークのワシントンスクエア。
1970年、同じくニューヨークのワシントンスクエア。
スマホも絵になる時代がやってくるのでしょうか?
素敵な本と言えば、『故郷 朝鮮近代文学選集=8』(李箕永著、大村益夫訳、平凡社、2017年)も、美しい本です。ただし、朝鮮近代文学選集のほかの巻は、私的には今一つですが。
カバーを取ると、ハードカバーの表紙は陰陽太極図がデザインされているおしゃれなもの、
淡いクリーム色の紙も素敵、550ページを超える長編なので2段組みになっています。
戦前の農村社会が描かれていて興味深いのですが、登場人物が多すぎて、頭の中がすぐごちゃごちゃになり、なかなか読み進むことができずにいます。
そういえば、漫画の表紙は、『舟を編む』も素敵だったけれど、『たまのこしいれ』(森田梢子著、集英社)の表紙も斬新でした。
『たまのこしいれ』は、なんと『アシガール』の続編、江戸時代版です。『じゃのめのめ』も別の角度からの『アシガール』の続編です。
2 件のコメント:
正に >電子書籍だと脳の別のところを使って内容だけを追う感じです。 を証明する様な素敵な本ばかりです。
reiさん
昔から本は曲げたりしないで大切にする方ですが、最近まで電子書籍と紙の本が別ものとは、はっきりとは気づいていませんでした。
参照するのでさえ、紙の本を引っ張り出す方が楽しいのですが、写真は別、紙のアルバムはかさばるし、探してもなかなか出てきません。写真はデジタル保管の方が嬉しいです(笑)。
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