2009年10月16日金曜日
ココヤシのポットカバー
プノンペンに住んでいたとき、農家を訪ねると、ココヤシをくりぬいたポット(お茶の急須)カバーをよく見かけました。ココヤシの姿をそのままに、外皮の厚い繊維状の部分を断熱材として利用しているものです。
タイ農村では雨水を、マレーシアの先住民たちは湯冷ましを飲みますが、中国により近いからでしょうか、カンボジアの農村では、みんなお茶を飲んでいます。
それにしても、座っているだけでじっとりと汗をかくような暑い国で、熱いお茶が冷めないように工夫しているというのは、とても興味深いことでした。
ただ、どこの家で見たポットカバーも、雨ざらし、陽ざらし、それの埃ざらしで汚れ、色もあせ、欠けたりもしていたので、そう関心を引かれるものではありませんでした。
ある休日、大好きなトゥールタンポン市場に遊びに行くと、なじみの骨董屋さんに、ココヤシの周りを細いラタンで巻いた、それはそれは美しいポットカバーがありました。たぶん、漆か、別の樹脂を薄く塗ってあるのでしょう。大切に使っていたものらしく、汚れも傷みもありませんでした。
蓋を取るとこんな感じ、円というより三角形のココヤシをうまく利用して、出っ張った部分にポットの注ぎ口が納まるように彫ってあります。
内果皮はとても硬いのですが、まわりを壊さないように上手にくりぬいていて、蓋の裏にちょっと残っているくらいでした。
ポットを入れるとこんな感じ。せっかくだから古いポットを入れてやるといいのですが、これはというものが見つからなくて、今入れているのは、ベトナム製のどこの市場でも売っているポットです。昔も今も、カンボジアで好まれているポットの形はほとんど変わらないので、サイズを確かめもしないで買ってきたポットが、あつらえたように、すっぽりと納まりました。
幸せなお茶の時間を過ごしていたのはどんな人だったのかと想像すると、わくわくしてしまう、素敵なポットカバーです。
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2 件のコメント:
1枚目の写真からは想像できませんでした。すっぽりポットが納まって、誰が最初に考えたんだろう、すごく気に入ってしまいました。縁側でお茶をいただく時にこういうのが側にあるといいですよね。
bluemoonさん
まわりにラタンを編みつけてあるのはこれ以外見たことがありませんが、ココヤシをくり抜いただけというのはよく見ました。はっきりとはわかりませんが、ヴェトナムあたりから伝わったのかもしれません。どうしてヴェトナムと考えるかというと、ポットがヴェトナム製、ココヤシにぴったりと収まるんですね(笑)。
カンボジアですから縁側とはいきませんが、高床の下に置いてある縁台に座ると、ココヤシの蓋を開けて、茶渋で黒くなった土瓶からぬるくなったお茶を入れてもらいました。それを飲むとゆったりした時間が流れて、「いつまでもこうしていたい」と、くつろいだものです。
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