2010年4月29日木曜日
ぱたぱた鳥と、ぴんぴん鯛
割った竹を、糸やテグスでしならせます。糸には、土でつくった鳥や鯛に穴を開けて通しておきますが、そのとき、穴をまん丸ではなくて、心持ち縦方向に楕円に開けておくのがこつです。
鳥や鯛を糸のてっぺんまで持って行き、ちょっとお尻を上げるようにして手を離すと、鳥は羽ばたきながら飛び、鯛はぴんぴん跳ねます。
鳥はタイのカセサート大学(農業大学)の収穫祭で見つけたものです。1990年ごろでしょうか。
1992年に発行された、『古い郷土玩具事典』には、ノック・ビン(飛ぶ鳥)は粘土を焼いてつくり、羽はパルメラヤシの葉か、ココヤシの葉を使うとあります。鳥はセキレイ、カモメ、スズメ、ハトがつくられると書いてあるのですが、私の持っている鳥は、まるでツバメのようです。
これも、どこか決まったところへいけば売っているというものではなく、行商のおじさんが持って歩いているだけなので、滅多にお目にかかれるものではありません。
鯛は、大阪市の堺港のピンピン鯛です。毎年、7月31日に、大浜海岸に全国から漁船が集まって、かがり火をたく中で、盛大な夜市が立ったそうです。そのとき、大漁を願う縁起物として売られたらしいのですが、今でも夜市は立っているのでしょうか?
二つはあまりにもそっくりです。堺は古くから貿易港としても栄えていましたから、誰かがタイ、あるいは中国あたりからおもちゃを持って帰り、伝えたのでしょうか。
鳥が羽ばたくことを発想する方が自然だと思われますが、堺で大漁を願って、活きのいい鯛がぴんぴん跳ねるものに代えたとしたら、それはそれで、なんとおもしろいことでしょう。
鳥は、とても良くできています。テグスが細いので、こまかくゆれながら降りていきます。『古い郷土玩具事典』に寄れば、昔の子どもたちは、鳥が長く飛び続けることを競ったそうです。
これを見つけたときは、もう心がわくわく、有頂天になりました。一緒に行ったタイ人の友人たちが、たいせつに鳥を抱えている私を、「またか」といった目で見ていたのを思い出します。
鯛もよくできています。穴が大きいので、大きく動きながら降りてきます。たぶん、学生時代に大阪で買ったものでしょう。似たようなおもちゃの「はじき猿」がほとんど壊れて残っていないのに、鯛はよく残っていました。
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