韓国の絵本『マンヒのいえ』 (クォン・ユンドク絵と文、みせけい訳、セーラー出版、1998年)を持っています。
狭いアパートに住んでいるマンヒ一家が引っ越しして、古くて広い祖父母の家で暮らすようになるというお話です。
祖父母の家では、伝統的な暮らしぶりが、あちこちに見受けられます。座敷の調度品も素敵ですが、ミシンを掛けているおばあちゃんの、八角形の裁縫箱やはさみも素敵です。
隅から隅まで、興味津々。
韓国を旅すると、車窓からよく、家の屋上や高いところに屋根もなく、かめが並んでいるのを目にします。
マンヒの祖父母の家でも、味噌、コチュジャン、しょうゆ、塩、干した菜っ葉、魚の干物などを入れたかめを、納屋の屋上のかめ置き場に置いています。
屋内の冷暗所に置く日本とは違うのがおもしろいところです。
干している布団は、韓国の色模様ですが、
子どもの遊ぶ姿は万国共通です。
最近、益子の古本屋+古道具屋の「内町工場」で、『ソリちゃんのチュソク』(イ・オクベ絵と文、みせけい訳、セーラー出版、2000年)という絵本を見つけました。
『マンヒのいえ』の作者は女性ですが、『ソリちゃんのチュソク』の作者は男性です。
チュソク(旧暦8月15日、日本のお盆にあたる日)を田舎で過ごすため帰省する人々で、道路は大混雑です。
やっと村にたどりつくと、タンサンナム(堂山木=村の入り口の守り神のところに植えてある木)が迎えてくれます。
タンサンナムとは、なんて素敵な木でしょう。
チマ・チョゴリでおめかしした、ソリちゃんのお母さんは、田舎の家に着いても、ごちそうつくりの手伝いで大忙しです。
お月見をした次の日は、朝早くに起きて、ご先祖さまに収穫の報告とお礼をします。
そして、みんなでお墓まいりをします。
農楽隊がやってきて、そのお囃子で、みんなで楽しく踊ります。
一度だけ東京で、アジア文化祭だったか、農楽隊の演奏を聴いたことがあります。じゃらんじゃらんとけたたましく賑やかで、帽子のリボンが飛び跳ねて、とてもカラフル、パワフルでした。
そして、行きと同じ大渋滞の中をやっと帰って来たおかあさん、チマ・チョゴリを脱いで半パンツになっているところがほほえましい。一大事業をなし終えてやれやれ、ほっとしている感じが、とってもよく伝わってきます。
世界の地域を問わず、細部まで書き込んである絵本は本当に楽しめます。
テレビの上の結婚の贈り物の家鴨(あひる)は、お父さんの手づくりではなくて、既製品のようです。
4 件のコメント:
春さん急速な日常生活の欧米化で失われたものが多くありますね、それをとやかく言うつもりはありませんが、、、。
韓国の「男寺党・ナムサダン」
タイメコンの「モーラム」を劇場で見ました。
血が騒ぎますね。
昭ちゃん
ナムサダン。粋ですね。モーラムもいいでしょう!普通の人々の気持ちです。モーラムは即興でやる浪花節ですが、もう、みんな血が騒ぎます。
モーラムが素敵と感じていただけて、すっごく嬉しいです。
昭ちゃん、万歳!
春さん、かめを土に埋める(キムチを発酵させるためでしょうか)という話を聞いた記憶があります。絵本にある屋上などは日に当たりすぎないのかとか気になるところですが、どんな理由があるのでしょうかね。祖母宅では、風呂場に通じる長い路地に大きな押し入れのような所がこしらえてあり、そこに醤油、味噌、漬物などの樽や甕が入れてありました。ひんやりした場所です。気候も大きく違わないのに対照的な場所に置くのはどんな理由があるのですかね。
hattoさん
韓国をバスで縦断すると、あちらこちらの、陽がかんかんにあたるところにかめが並んでいるのを見かけました。どうしてなのか、聞けばよかったですね。
もっとも、それは確か三月のこと、冬場にキムチを漬けますから、冬の日差しは夏の日差しとはまた別ものなのかもしれません。
唐辛子や朝鮮人参の味が違うのは土壌のせいとして、どうして韓国には実の採れる松の木が多いのかとか、聞きそびれたことはいっぱいあります(笑)。
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