先日、元同僚で今は居酒屋をやっているMくんが来たとき、Mくん持参の包丁をしげしげと見ていた私は、
「もし居酒屋をやっていたら、絶対包丁に凝っているよね」
と言われてしまいました。
そのときは、
「あはは、図星よ」
と言った私ですが、そのときはまだ、和包丁を揃える予定はありませんでした。
後日、Sさんの家で、Sさんがさばいたお刺身をいただきました。
「Sさんち、包丁いろいろあるんでしょうね」
「ああ、いっぱい持っているよ。それとね、おれ、包丁研ぐのが趣味なの」
そのとき、Oさんも一緒だったので、以前Oさんの家の菜切り包丁を見て、私も欲しくなり買ってしまったこと、とても重宝していることなどを話しました。
「いいよね、日本の包丁」
と、Oさん。
そう、伝統のない日本の台所道具たちは、西欧のものに比べると断然劣ります。
例えばお鍋だと、縁から水をこぼさずに注ぐことができないとか、水をいっぱい入れたときの重さを考えないで持ち手がついているとか。
ところが、伝統のある刃物はとても優れていることが、菜切り包丁を使ってみてよくわかりました。
それからしばらくして、居酒屋をやってもいない私ですが、とうとう出刃包丁と柳刃包丁を揃えることにしました。
もちろん、居酒屋もやっていないので毎日使うわけではない、分相応の値段のものです。
それでも、最高にいい気分です。
長い間懸案のまま棚上げされている果物ナイフやチーズナイフを差し置いて、出刃、柳刃、菜切りと和包丁が、三役揃い踏みしました。
かくなる上は、研ぐのもしっかり研がなくてはなりません。
さっそく、包丁専用の砥石を買いに走ります。
しかも、ホームセンターではなく、かつては鋸の目立て屋さんだった、専門店に行きます。
「どんなのにする?」
「荒砥は使わないから、中砥だけでいいかなぁ」
仕上げ砥は、鉋の刃用の砥石と兼用にします。もっとも、包丁だったら、仕上げ砥はそう使わなくてもいいかもしれません。
そんなことを言うと、まるでいっちょう前のようですが、鉋の刃はまっすぐ研げるかどうか不安だし、一旦、台から外したらうまく調節できるかどうかも不安で、実はあまり研いでいないのです。
「包丁で練習を積んで、鉋の刃もしっかり研ぐからね」
菜切り包丁は、シンクの下の深い引き出しに取りつけたマグネットに、他の包丁類と一緒にくっつけています。
でも出刃包丁と柳刃包丁をここにしまうのはちょっと心配です。刃先だけしか見えていませんが、斜めにしないと入りきらない、刃の長いパン切り包丁が、右の方を占領しているのです。
というわけで、浅い引き出しの中に箱を置いて、専用の場所を設けました。
使った後は下を向けておいた方がいいので、使ったらすぐ洗って拭き、しばらくマグネットにくっつけて柄を乾かし、それから引き出しの中に戻すという手厚い扱いぶりです。
結婚した時に、母が三徳包丁と出刃包丁を用意してくれましたが、出刃はあっというまに刃を欠いてしまいました。そして、長い間、刃を欠いたまま、めちゃくちゃに使っていました。若いときには、恐ろしいことをするものです。
この出刃包丁で、まだ鶏の骨を叩き切ったことはありませんが、刃をこぼさずに切れるでしょうか。
「鶏の骨なら、やっぱり中華包丁?」
なんて余計なことは考えないで、和包丁を楽しみたいと思います。
2 件のコメント:
おはようございます。
木屋の包丁ですね…。実家から(母がもう使わない)のをもらってきたのが木屋の出刃包丁と刺身包丁でした。
それで、切れ味があまり良くなくて仕舞い込んでいましたが、ちょうど母の入院先の病院近くに「包丁研ぎます」の看板を見つけたので持っていきました。
そしたら驚くほど切れるようになったのですが、研いでくれたおじいさんが、「いい包丁だけど、保存の仕方が良くない。しまう時は石鹸(固形)を刃に塗り付けて、新しい新聞紙(インクが新しい)にくるんで仕舞うのがいい」と言ってくれました。
まあ、あまり使わないので、面倒ですがそうやって仕舞っています。(^^;)
karatさん
石鹸とインクですか。包丁はしまいこまないくらいには使いたいと思いますが、じつはもらいものの、おそろしくりっぱな鉋を持っています。「使って」といただいたのですが使えない。しかし何年も研がないで刃が心配だったので、石鹸を塗って新聞紙にくるんでみます。
刺身包丁は、肉の薄切りをしたりするとき便利です。豚肉は養豚の方から月に一回買っていますが、ひき肉と固まり肉のセットになっているので、固まり肉は柳刃で切って使っています。冷凍パンはパン切り包丁では切れないので、菜切り包丁の出番です(パン切り包丁は何をしているのだ?、笑)。
以前から持っていた包丁は、絞めた鶏肉をさばいてもらったとき、あまりにも切れないので、恥ずかしさに汗をかきました。今考えると、あれが「出刃が欲しい」と思う転機になっていたのかもしれません(笑)。
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