2015年1月8日木曜日

キーロフのマトリョーシカ

以前は見かけなかったのに、最近は骨董市でよくマトリョーシカを見かけるような気がします。
「前から、あった?」
もしかしたら、前はあっても目に入らなかったのかもしれません。

見かけても、たいていは見て通るだけですが、骨董屋さんと意気投合したりすると、ついつい買ってしまったりします。

 
これはそんな、骨董市で出逢ったマトリョーシカです。


ひとつにまとめてあったので、開いてみようとしたのですが、ちょっと硬めだったのでやめました。
すると骨董屋さんが、開けて見せてくれようとして、一生懸命ねじりはじめました。
「あっ、ねじっちゃだめなんですって」
しかたなく、私が受け取って、今度は本気で開けたら、難なく開きました。その手を、骨董屋さんともう一人仲間らしい人が固唾をのんで見ています。仕入れてきたものの、開けてもみていなかったのでしょう。
「マトリョーシカって、こういう素朴なのが古いのかな?」
と、骨董屋さん。
「まぁ、そうとも言えないかな。ほら、中の紙に書いてあるじゃない、1984年製だって。そう古くはないわ」
「てぇことは、昭和にすると何年かな?」
「うぅぅんと?」
「昭和59年だよ」
と、横で見ていた人が計算します。

「出しちゃったけど、しまっとこうか?、それともこのまま並べておこうか?」
「あぁ、並べといて」
一度はきれいに並べたのに、よもやま話を続けているうち、つい値段も聞いてしまったら安い!
というわけで、買ってしまいました。

七つセットのキーロフ産マトリョーシカです。
ソヴィエト時代に、職人さんが何も考えずに「ちゃっちゃとこなした」マトリョーシカでしょうか、わりとてきとーにつくられています。


プラトークの形が違うとはいえ、二番目の娘より、三番目の娘の方が、顔が大きいく描かれているのは、分業だったからかもしれません。


五番目の娘から目は点になっていて、それはよくあることですが、それにしては四番目の娘の目が大き過ぎませんか?
まあ、そんなところも含めての魅力ではあります。


不思議なのは、渦巻きのスタンプです。
セミョーノフでは渦巻き模様は当たり前ですが、キーロフにも渦巻きスタンプがあったとは、知りませんでした。


中の紙には、1984年製造のスタンプが押してありますが、ロゴの右あたり、産地であるキーロフの文字も見えます。
渦巻き模様があっても、確かにキーロフでつくられたものです。
 

こちらは、キーロフのもう一つのタイプ、麦わらを貼りつけたマトリョーシカです。


麦わらのマトリョーシカの中では、右のタイプの方が好きなのですが、花模様が散っているのも悪くありません。


このマトリョーシカは、きっと子どもが遊んだものでしょう。とくに縁のあたりがずいぶん傷んでいます。
そのわりには、貼りつけた麦わらはよく残っています。


現在も、麦わらで花を散らしたマトリョーシカはつくられています。
模様がもっと緻密で手が混んでいるし、麦わらもいろいろな色に染めてあるのですが、現代ものは全体に色がけばけばしいのはよしとしても、まつ毛が目立ち過ぎて、嫣然と微笑み過ぎているお顔が素朴ではないのが残念です。


この麦わらマトリョーシカは、張ってあったラベルがはがされているので、いつごろつくられたものかわかりません。


ただ、麦わらに厚みがあるので、『マトリョーシカ ノート3』を参考にする限りでは古いものではなく、1980年代のものではないかと思います。





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