スウェーデンの、巻き編み(Coil basket)の小さな籠です。
巻き編み籠の歴史は古く、カイロ南西部のリビア砂漠にある古代エジプトのファイユーム遺跡で発見された籠の断片は、紀元前5200年前のものだとされています。
また、トルコ南部のチャタル・ヒュユク遺跡でも、藁の巻き編みの籠が発見されていますが、チャタル・ヒュユクは、紀元前6850年にはすでに築かれていた世界最古の都市ですから、巻き編みの籠の歴史は、さらに千年以上さかのぼるのです。
巻き編みの籠は、世界中に見られます。
スーダン、エチオピア、ザンビア、南アフリカ、モロッコ、カメルーンなどアフリカ諸国の籠の多くは巻き編みでつくられています。
インドネシアのアタもそう、フィリピンやヴェトナムなどアジア諸国にも見られます。日本にも、かつて藁で巻き編みにしたお櫃の保温籠や、赤ちゃんを入れておくいずめこがあり、今でも猫ちぐらなどがつくられています。
また、アメリカ先住民の諸民族は、バラエティーに富んだ巻き編みの、素敵な籠をつくってきたことで有名です。
このスウェーデンの巻き編みの籠は稚拙で、滑らかな線にならず、でこぼこしています。
巻き編みの籠の素材は、藁や草が多いのですが、この籠の素材は、シナノキのような木の繊維に見えます。
そして、芯にしているのは硬いものですが、白樺の根でしょうか?
蓋はかぶせてあります。
とっても珍しいことに、右の南アフリカのズールーの籠と、形がそっくりです。
よくあること?
いえいえ、ズールーの籠も、この形のものは他に見たことがありませんから、珍しいと思います。
インドネシアのバリ島のアタの籠にも、蓋をはめるのではなく、かぶせる形をしたものがあります。
でも、どれも蓋をかぶせると、側面がまっすぐで円筒形や楕円筒形になるように、蓋のかぶさるところをあらかじめ細くつくってあります。
蓋つきの籠は、蓋をどう乗せるか、苦心するところでしょう。
でも、もっとも簡単そうな、ただかぶせる蓋は、意外に少ないものです。
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