デンマークの半島部の中心あたりに位置するハーニングのテキスタイル・フォーラムのミュージアムショップには、ありきたりの靴下や衣類、ちょっとしたお土産もののお菓子などが、ほんの少々並んでいました。
そんな中に、紙の着せ替えの復刻版がありました。
32×36センチほどの大きさで、切り取って着せ替えて遊んだものです。
いつごろの服装でしょうか?
着せ替えがもう一種類。
日本で言えば大正、モダンボーイ、モダンガールの流行った頃の服装から、20世紀に入ってからのものと思われます。
どちらの着せ替えも、布で生計を立ててきたハーニングの、ミュージアムショップにふさわしいものでした。
厚紙でできていて、切って組み立ててつくる、紙おもちゃのお店もありました。
右のドアは、きっと開け閉めできるようにつくるのでしょう。
お店のカウンターは、一方を壁にくっつけて一方を立て、お店のおじさんはカウンターの中に立たせて、子どもたちは外に立たせると思われます。
でも、そのわりにはお皿の乗っているカウンターらしきものの長さは、店の幅と同じで、このままつくれば、ドアにつきあたってしまいそうです。
また、右上の腰板のようなものは、いったいどこに使うのでしょう?ビンなどは立たせるのか、あるいは壁に貼るのか、いろいろ考えていると頭が痛くなります。もっとも、これが普及していたとしたら、当時の子どもたちは、難なく使い方がわかったのかもしれません。
いったい、どんな子どもたちがこんな着せ替えで遊んだのでしょうか?
イエンスに、小さいころには、どんなおもちゃで遊んでいたのか、聞いてみました。
一瞬間があって、
「おもちゃが欲しいと思ったら、そこいらの木端を削って自分でつくっていたよ」
という答えが返ってきました。
イエンスは半島育ちで、おじいさんは牛を飼っていたそうです。おやつが欲しかったら、牛の乳に口を当て、絞って直接飲んだとか、ビー玉やメンコで遊んでいたのではなかったようでした。
コペンハーゲン郊外には、野外博物館(Open Air Museum)があります。
デンマーク各地の民家を集めたもので、民家の外見だけでなく、家具調度品、道具など、その家にあった当時のものを配置して、まわりの庭などもできるだけ再現している、興味深いところです。
その中に、三方に家畜小屋を持ち、ロの字型の一片が住居になった、南部の豪農の家(確か1800年代の終わりころだった)がありました。
その家の居間の床に、ままごと道具と、人形用の揺りかごが置いてありました。
床は、当時のままの家がほとんどでしたが、この家の床はだめになっていたのか、新しい床板が敷いてありました。
数ある民家の中では、超モダンで、立派な家具調度も揃っていて、たいして興味を惹かれませんでしたが、子どものおもちゃがあったのは、のぞいてみた家のなかでは、ここだけでした。
しかも、ままごと道具は、私の持っているのとそっくりです。
その部屋には、当時の子どもの服も展示してありました。
当時は、真っ白が流行ったようでした。
白いものを白く着るため、洗濯は、重層や石鹸を使って、こすったり煮たり、いろいろな工夫をしていました。
しかし、こんな服を、私なら遊び盛りのとても子どもに、とても着せられません。
その家には絵本もありました。
時代がごっちゃになっていますが、デンマークの、150年から50年ほど前の、子どもの生活がうかがえる、おもちゃたちでした。
もっとも、イエンスの話のように、着せ替えはどうか、ままごと道具や人形用揺りかご、そして絵本を持っていたのは、一部の、お金持ちの子どもだけだったに違いありません。
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