人魚姫の像はデンマーク観光の目玉で、旧王宮の土手を歩いた時も、船で運河を廻った時も、人魚姫の像のある場所には、たくさんの人だかりがしているのが見えました。
かわいそうに、人魚姫は何度も「芸術テロ」にあって、首を切られたりしています。
旧王宮の土手 |
デンマーク人は彫像が好きなのか、またはあるのが当たり前と思っているのか、彫像がどこにでもあります。
噴水にはもちろん、街角、墓地、公園、ところかまわずです。
ミケランジェロの写しまであって、もともと限られた空間に置き、下から見上げることを計算してつくったと思われる彫刻が、遠望のきく広い道端に置かれていて、そのプロポーションがひどく醜く見えるものさえありました。
公園でこの彫刻を見たとき、イエンスが、
「これは何の彫刻か知っている?」
と聞きました。
「さあ...」
「「きみ、きみ、こんなところで裸になっちゃいけないよ」と言っているのさ」
「あっはっは」
さて、夫は小さな町を見るのが好きです。それが港町ならもっといい。
最初に訪れたデンマークの北の港町レンビには、ちょっと早めに着き過ぎ、時間をつぶしに入ったパブには、町の、お互いに顔見知りの船乗り、元船乗りたちがたまっていました。人懐っこい人たちが賑やかに騒いでいて、席を移してくる人たちもいて、夫はそんな雰囲気がすっかり気に入ってしまいました。
レンビでは、港からちょっと奥まった通りに小さな教会があり、
木陰に、なぜか大きな猫の彫像が三匹あります。犬はいっぱい見たのに、デンマークで猫は一度も見ませんでした。 |
そのあたりが町の中心になっているのもいい感じでした。
そこで、北からの帰りに、もう一ヶ所小さな港町を訪ねてみることにしました。
ところが、ホブロというその町は、港の大規模な再開発中、どこもかしこも掘り返していて、殺風景でした。
そのホブロの、商店街の真ん中の広場に出たとき、素敵な像が立っていました。
「わぁ、いたぁ」
水汲み農婦の像です。
水は、天秤棒で担がないで、手に提げています。
ロシアの人形と同じです。
手で運ぶなんて大変だろうと思っていたのに、実際に手で運んでいた人たちがいたのです。
「それにしても、農婦さん、素敵だよ」
この街にはあまり見るところもなかったけれど、この彫像に出逢えただけで大満足でした。
水汲み農婦がいつまでもここに立ち続けることを、切に願うものでした。
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