栓抜きと、コルク抜きを入れている箱です。
ナイフを手前に引いて模様をつける方法の装飾、一枚の薄い板が、美しいものに変身しています。
いつも大工仕事をしながら、ときおり思います。
同じ木でありながら、目につくところに使われて、晴れがましい木。
目につかないところに使われて、誰の目にもふれない木。
端材として切り捨てられてしまう木。
鉋屑として燃やされてしまう木。
おがくずとして消えてしまう木。
その、別れ道は何だったのかと。
この木は丁寧に彫られ、磨かれ、使われ、百年以上残ってきました。
彫られた部分が捨てられたからこそ、残った部分が活きました。
すっかり黒ずんでいるので、長い間、台所に置かれて、竈の火でいぶされていたのかもしれません。
蓋の内側の、木目も浮き出て、
箱の縁の木目も、柔らかい部分がすり減って、凹凸がついています。
デンマークで19世紀につくられた箱、日本で言えば江戸から明治にかけてのころの箱です。
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