2017年8月12日土曜日

そろばん

いまごろ気がつくのも遅いのですが、『乙嫁語り』について、詳しく説明しているブログがありました。
『亜細亜が好き!』というブログで、2015年以降は更新されていないようです。


その中の、「『乙嫁語り』の世界その2」に、筆者がキルギスで見たという、「ロシアそろばん」の写真が載っています。
びっくりしました。


というのは、私の持っている、ハンガリーのロシアそろばんと同じだったからです。

このそろばんは、珠が足りないので、壊れてしまったものだと思っていました。
でも、キルギスのそろばんと比べて見ると、同じ場所の珠が、同じだけ失われています。それでもまだ、最初からこんな形をしているとは信じられません。どこかの地域では、こうやってわざわざ珠を抜いて使ったのかと考えました。


ところが、ウィキペディアで、ロシアそろばんを見て、またまたびっくり、軸の一本には、なんと最初から4個の珠しかついていません。
説明によると、ロシアそろばんには、それぞれの軸に10個の珠があるのですが、1本は4つしかなくて、それで小数点以下の0.25を表すのに使われたとありました。
しかも、ロシアそろばんは、軸が上下ではなく左右になるように置いて使うのだそうです。
日本のそろばんとは90度、向きが違います。

最初は、全ての珠を右端に寄せておき、必要に応じて珠を左側に移動させて使います。
単純で扱いやすい器具なので、ロシアそろばんはソヴィエト連邦時代には、全土の商店や市場で使われていて、1990年代までは、学校でその使い方を教えていたそうです。


手前になる方(写真では左)がちょっと低く、針金の軸は、珠が安定するように弓なりにつくられています。


ロシアそろばんを使用している写真はないかと検索すると、タシケントの街角で買物をしたら、店主がそろばんを出してきたという写真が見つかりました。縦に置いています。
もっとも、この写真では4つしか珠のないあたりの感じはよくつかめません。見ようによっては、手前から3本目の軸の珠が少ないようにも見えます。


『乙嫁語り』に話を戻すと、あらさがしのようで嫌ですが、そろばんは、100個の珠がそろったものが描かれています。


そして、日本や中国同様、軸を縦にして使用しています。
中央アジアに精通している、著者の森薫さんも、そろばんと言えば軸を縦にした形で使うものと考えていたのかもしれません。


ウィキペディアによれば、ヨーロッパでは、計算器具であるそろばん(英名アバカス)は、アジアから紹介された12世紀から、アラビア数字を使った位取り記数法が広く採用される16世紀ころまで、使われてきました。
これは、グレゴール・ライシュが1508年に描いた、「計算机」という木版画です。
アラビア記数法を使う者と、アバカス(そろばん)を使う者が競争しています。
数世紀、アラビア記数法による計算とアバカスによる計算は激しい競争状態にありましたが、アラビア記数法が勝ち、16世紀以後、ヨーロッパではアバカスは廃れました。



さて、これは中国のそろばんです。
中国に行ったとき買って、私も一つ、まったく同じものを持っていましたが、どなたかに差し上げてしまって。手元にはありません。
 

そして、こちらが日本のそろばんです。
中国のそろばんと違って、仕切り線の上には珠が一段しかありません。


祖母の実家は船問屋でしたが、そこで使われていたものです。







4 件のコメント:

karat さんのコメント...

、世界中にそろばんはあったのですね…。
玉で置き換える計算方法は、最初に考えることなのかもしれないなあと思いました。私は筆算のほうが楽です。
さらに計算機のほうが楽です(^^)。
古いそろばんは五つ玉というのですね。学校で習ったのは四つ玉、うちにあるのも四つ玉です。
母のところにそろばんがあったので、もらって帰って、頭の体操でたまに使いますが、足し算しかできません。これで引き算とか割り算掛け算もするかと思うと感心してしまいます。目をつぶって指だけパチパチして計算しているそろばん得意の子がいたのを思い出しました。

さんのコメント...

karatさん
私もそろばんは、中国や韓国など、東アジアだけのものかと長い間思っていました。ソヴィエト連邦や中央アジアでは、とても愛用されていたようです。
ヨーロッパのそろばん(アバカス)の古い形は、インカなどにもあった計算器具で、細かく仕切った容器の中に石を入れたり動かしたりするものだったようです。それだったら、便利そうとなんとなく想像できますね。
そうそう、綱に結び目をつくって数えるのもありましたね。それらがそろばんに進化して、馬上で使うので、珠を動きにくくつくってあるのもあったそうです。
日本の昔の五つ玉、私も使ったことがありません。そろばんは実際に珠をはじくより、その姿を頭に思い浮かべて、暗算するのに優れた道具だと聞いたことがあります。たしかに、今でも暗算の競技会なんかあって、信じられないほど早く計算できる人がいるようですね。ちょっと前(ずいぶん前、笑)まで、銀行に行くと、行員さんたちがそろばんをはじく音が高らかに聞こえました。

昭ちゃん さんのコメント...

私は昼間働いて夜間の商業学校四年出、
今風に言えば定時制ですから割り算は「二・一天作の五」で
ほかの勉強ができなくてもソロバンの得意な友人がいました。
五つ玉の下段を止め使用していましたが
暗算は頭にソロバンが浮かぶくとか。
やはり特殊が技術でしょー

さんのコメント...

昭ちゃん
祖母が言っていました。「にいちてんさくのご、にっちんのいんじゅう」。よく聞きましたが、さっぱりわかりません(笑)。
小さいころ、公民館でのそろばん教室に通いました。学校でしか会えない同級生に夜会う楽しみ(笑)、そろばんは二の次でした。
昔取った杵柄、加減乗除、そろばんでできますよ(^^♪と言ってもどうかしら?20年ほど前、短距離走は得意だったと走り出したら、20メートルもいかないうちに、足がもつれてパタッと転びましたからね(爆)。