西表島の『手わざ帖』(NPO西表島エコツーリズム協会編)三部作です。
一冊目はアダンとマーニ(クロツグ、Arenga ryukyuensis)を使った、いろいろな細工ものを紹介しています。
アダンの葉でつくるゴザや籠は知っていましたが、芯が食べられることや、
気根からよい繊維が採れることは、全然知りませんでした。
マーニ(クロツグ)です。
マーニの芯は、生で食べられるそうです。ヤシは、素晴らしい!
私の持っているカエルと指ハブは、マーニでできています。
『手わざ帖』の二冊目は、わら、竹、すすき細工です。
竹の種類は違いますが、この巻に紹介されている細工の材料は、全国どこでも手に入りやすいものばかりです。
すすきの箒は、ちょうど今がつくり時でしょうか。
三冊目は、クバ(ビロウ、Livistona chinensis)、ピデ(コシダ、Dicranopteris linearis)のほかに、ソテツ、月桃、茅、芭蕉などの細工が紹介されています。
ビロウは、シネンシスとありますから、東アジアの種だと思います。東南アジアのビンロウ(Areca catechu)とは科も違いますし、木姿も葉も似ていません。
でも、タイ南部にもそっくりの、葉っぱの水くみ(つるべ)があります。
『THAI FORMS』より |
我が家にもありましたが、留守宅を息子に提供していた時、息子の犬(最終的には我が家に来たアルシ)が齧ってしまったのか、失われてしまいました。
『THAI FORMS』のキャプションには、材料が「ヤシの葉」と書いてあるだけ、私はココヤシの葉と思っていましたが、ビロウに似た葉で、ココヤシではなかったのかもしれません。
クバの水くみだけでなく、ひしゃくも素敵です。
ソテツの葉や月桃の葉でも、いろいろなものがつくれるようです。
以前アダンの葉の茣蓙を使っていましたが、月桃でも茣蓙が編めるようです。
『手わざ帖』は、薄くてハンディです。
キャンプなどに持っていくと、すぐ楽しめそうな反面、あまりにも素人編集的で、美しい本ではないのが残念です。同様の内容で、フィリピンやタイには、美しい、手元に置いておいて何度もページをめくってみたいという本があります。
日本では、ハウトゥーものと言われる本が、出版物のうちの大きな割合を占めています。それらはやがて、膨大なネットの情報には太刀打ちできなくなって消えていくかもしれません。工作やお料理のレシピは必要な時だけ見ることができるし、動画でさえ見ることができます。
だからこそ、それを逆手にとって、ネットでは得られない、魅力にあふれた美しい本をつくる時代が来ていると思います。
これが、そんな、美しい本だったら、どんなによかったことでしょう。
と言っても、なかなかいい本でした。そして、この写真は素敵でした。
6 件のコメント:
この冊子も面白そうですが、エルマーさんの本を手に入れるまでが面白すぎです!本の作りが丁寧で編んだものたちもきれいで素晴らしい本ですね!
面白そうな本ですね…。一番手に入れやすく作れそうなススキの箒、と思ったらススキ10本×7+15本って100本は要るじゃないですか…。無理…。
昔はこの辺りもススキの原っぱがあって、子供の頃秋にその茎をたたいてトンネルを作って遊んだものですが今は家が建って、ススキのスの字もないです。「ススキの砧は昔の事よ~♪」という盆踊りの歌がこの辺にあるくらいで(^^;)。葉っぱで柄杓も作ってみたいです…。
hiyocoさん
そうそう、美術館や博物館に並ぶようなものなら、関心を持っても普通だけれど、こんな、スナックを包んでいる消えていくようなものに、何の得もないのに、関心を持つ人がフィリピンにいることに驚いて、嬉しくなったものでした。
そして、彼の本が超美しい!タイの子供がつくるおもちゃの本も美しいです。
草を編むこと、地域色があるようで、でも共通項があるようで、とっても面白いです(^^♪
karatさん
本は、カゴアミドリ(http://kagoami.com/SHOP/JWI501.html)で売っています。一冊600円です。
そうか、東京だと、今はススキもないですね。我が家の周りにはいっぱい生えていて、庭には生えないように気をつけています(笑)。
10年くらい前にまだ元気だった母が来て、庭に生えそうになっているススキを見て、「一株くらい残して置いたら?」と言われて、びっくりしたことがありました。母は昔の人で、経済的余裕がなくても花は毎週買っていて、お月見の季節にはススキも買っていたから、そんなことを言ったのでしょうね。それを見て育ったのに、私は切り花を買ったことが、ほとんどありません。そのススキの株もコテンパンに切って、今では生えてきません(笑)。
やっぱりカゴアミドリさんで買ったんですね!本と同じ西表島エコツーリズムの手ぬぐいがめっちゃいい!買いましたか?
ススキの箒の形が、先日無印で買ったベトナムのココヤシの箒と同じでびっくり。ココヤシは針金で固定されていて、変な掛け方だなぁと思ったら、わざと反りを出すためだったんですね~。
エルマーさんの本を見ていて、セブ島に行った時、旅行会社のお迎えの人が小さな籠のバッグ入った缶のウェルカムドリンク(?)をくれたことをふと思い出しました。今、引っ張り出してみましたが、ヤシの葉で編んであるのかも!
hiyocoさん
本当だ!手拭いがいい。手拭いは、実はたくさん持っていて、使いきれないよと、見もしないでスルーしていました。
これ、5枚買って、ブラウスにしたら、めっちゃ素敵ですね(^^♪
江戸時代、沖縄の人たちは南方に出かけて物を買いつけ、それを日本に運んで日本のものをまた南方に運んで、海を縦横無尽に行き来して、賑わっていました。そんな交易のおかげで、アジアの広い地域で、箒、水汲み、漁具、籠、いろいろなものの形が一緒です。いわば、沖縄は日本の玄関だったのだけど、造船技術もすごかったのでしょうね。船はどんな木でつくっていたのかしら?そんなことも気になります。
日本は鎖国していると言っても、染め物材料など、ずっと買っていましたからね。
セブ島の籠バック、ヤシの葉ででしょうね。彼らは、造作もなくつくります。市場で小さな安いものを買ったら、素敵な籠に入れてくれたりしたら大嬉し。豊かですよね。
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