七月からやっていたというのに、九月になってやっと「陶の空間・草木の空間、川崎毅と関島寿子」展を見に行くことができました。
菊池寛美記念智美術館は、東京都心にありながら、静寂に包まれていました。
左の建物の黒く見えているところが美術館の入り口です。
入口の長い廊下を通り抜けて階段を降りると、地下が美術館、照明を抑えた大きな展示室があり、また、一階には庭が見渡せて、緑が目に痛いくらいの落ち着いたレストランもあります。
川崎さんは古い友人ですから、この半世紀、彼の作品を見続けてきたのですが、関島さんの作品を見るのは初めてです。
二人展はいったいどんな感じになるんだろうと、想像がつかなかったのですが、お互いの作品がお互いの作品を引きたてあっていて、見事なコラボレーションでした。
見た後、
「おれは、あれとあれが好き」
と、夫。
「そうか、似たようなもんね」
と私。
長く一緒に暮らしていると、好みが似かよってしまうようでした。
川崎さんも関島さんも、「用」の素材で、「用」ではないものをつくります。
片や料理を盛ることのできない陶器、片やものを入れることのできない籠というわけです。それでも、その作品たちには作者たちの思いがいっぱい詰まっていて、それが、見つめる人の心に伝わって来ます。
そして、見る人の気持ちを引きたててくれるとき、「用」になるのかもしれません。
さて、会場で関島さんの本を見つけました。
『バスケタリーの定式』(関島寿子、住まいの図書館出版局)は、籠とは何かを知る名著ですが、1988年に出版されたあと、長く絶版になっていました。ところが、2007年になって改訂版が出版されていたのです。気がつきませんでした。
よかった、よかった。じっくり読んでみたいと思います。
関島さんには、『自然を編む』(関島寿子著、創和出版、1986年)という本もあります。
写真つきで、とっても丁寧に解説してあるので、無人島で暮すときはこれ一冊持って行くと、どんな籠でもつくれるというものです。
写真は、アフリカの草籠など、巻き上げ編みの工程の一部です。
2 件のコメント:
関島さんの「バスケタリーの定式」は、わたしも名著と思います。好きで何度か読み直している本ですが、春さんのブログを読むまで、そんな以前に書かれたものとは気がつきませんでした。また読み返したくなりました。
東さん
読みたいと思って探したときは長い間絶版で手にすることができませんでしたので、まさか会場で出逢うと思いませんでした。
いつも夜寝る前に本を読む習慣があり、読みかけの本が二冊もあったのですが、「バスケタリーの定式」をちらっと読んだらやめられなくなって、読んでいます。
発想の転換と言うか、気づきと言うか、あるときふっと壁を越えた感じがする、そんな感じがびんびん伝わってくる本ですね。
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