コペンハーゲンのグルントヴィ記念教会は、イェンセン・クリント(1853-1930)の設計で、塔部分は1927年に完成しました。
イェンセンは完成を見ずに亡くなり、後は息子が引き継いで、1940年に全体が完成しています。
教会はライムレンガ(石灰レンガ)と赤い瓦でできています。
周りの住宅は、やはりクリントの手によるもので、教会の高さを際立たせるために二階建てと低く抑え、同じ素材でできています。
しかも住宅棟は一列だけでなく、何列かになっていて、このあたり一帯にハーモニーを生み出しています。
一歩中に入ると薄暗く、そして明るい礼拝堂へと続きます。
礼拝堂。
地下室の礼拝所。
椅子やもの入れなど、家具や建具もクリントンのデザインによるものです。
ただ、礼拝のために座る椅子だけは、あのYチェアのハンス・ウェグナー(1914-2007)のものでした。
椅子の前脚の裏に革ひもがついていて、それに棒を通して椅子どうしを固定してあります。
デンマークの教会の天井には、なぜか必ず船がぶら下げてありますが、この教会にもぶら下がっていました。
周りの住宅は、もともとは低所得者のために建てられたものですが、都心にもかかわらず静かな環境のよさから、最近では必ずしも低所得者ばかり住んでいるというわけではないそうです。
各部屋の窓際には何かしら飾ってあります。
中には、四角くてくびれのある、ガラスのデキャンタを飾っている窓もありました。
「これこれ。これが話していた地酒のアクアビットを入れるビンだ。注ぐとクルック、クルックと音がする。アクアビット以外はこのビンには入れないよ」
と、イエンスが教えてくれました。
その、独特の形のデキャンタ(ホルムガルド社、kluk kluk、1950年代)は、昔、銀座松屋などで見たことがありました。もちろん、アクアビットしか入れないことも、注ぐと音がすることも、まったく知りませんでした。
8 件のコメント:
春さん、おかえりなさい。
どうして船がぶらさがっているんでしょうか。
航海の安全でしょうか。
先月に、街中のお店でデンマークから輸入されたお菓子類が販売されていました。
缶入りクッキーの、缶の絵柄は蓋も横も船でした。
最近にあるところから知ったお店なのですが、猫ものがいっぱいのようなんです。
“Cafe de しっぽな”
https://ja-jp.facebook.com/pages/cafe-de-しっぽな/107195762674316
お帰りなさい春さん。祭壇のほうに向かい吊り下げた船の起源は、正確には判らないようですが「奉納模型船」「教会船」などとと呼ばれおり、難破船から生還できた人達が教会に奉納した、日本でいう「絵馬」みたいなものだと聞きましたがいかがでしょうか。
Blue moonさん
7月の終わりは、ブルームーンでしたね。
船は他の教会でも見ましたが、写真は撮ったかどうか。なにせデジカメで無制限に撮れるとなるといっぱい撮ってしまって、あとの整理が大変です。まだ家の掃除もろくにしていないのに(笑)。
滞在中は、日本人がつくったようなけっこう忙しいスケジュールでした。そのため、スーパーもデパートもゆっくり見る暇もなくて、デンマークのお菓子も知りません。というのもアンはフランスかぶれ(イエンスに言わせると)でビスケットも食材もフランスのものが多く、おまけに旅の途中以外は間食もしませんでした。
チョコレートでは能がないと、お土産にみすず飴を持って行ったんだけど、あれも捨てられちゃったかな(笑)。
船は、↓でhattoさんが教えてくださったように、絵馬のようなものでしょうね。バイキングの国なので、航海には長けていたようでいた。
hattoさん
いつもありがとう。
デンマークだけではなく、スウェーデンでも教会に船がつりさげられているようですね。なにせデンマークは小国で、位置からしても船による交易で暮していたような国ですから、船は最重要物だったと思われます。造船技術も高かったのでしょう。
確かに船は奉納されたものだと思いますが、一つの教会に一隻だけなので、個人と言うより共同体全体で奉納したものではないでしょうか。
グルントヴィ記念教会では、訪ねたときお葬式をしていて、外で待っていた霊柩車の運転手さんから、「あと20分で終わるから」と聞いて待っていたのですが、ことほど左様に、結婚式であれお葬式であれ、教会は利用されているようです。
巨人が入れそうな巨大な教会ですね!
もしあの椅子がYチェアだったらいくら。。。?と皮算用したくなります。
hiyocoさん
Yチェアはアームがあるから、アームのない椅子でやっているのでしょう。椅子の後ろには献金入れでしたっけ、もの入れでしたっけ、ちゃんと箱がついているので、特別仕様でしょうね。
まさか、盗まれないためにつないでいるんじゃないですよ(笑)。椅子を揃えるためですが、革紐が切れて、後ろにぽつんと置いてあるのもありました。夫が眼鏡をどっかにおいてしまって、さがしていたら、イエンスが「教会で盗まれた!教会で眼鏡を盗まれた!」と騒ぎました(もちろん冗談で)。そのときは地下室にも特別に入れてもらって3人しかいなかったのですが、教会では、一応何も盗まれないみたいです(笑)。
礼拝堂を見ると確かに巨人も入れそうですが、入口とかは小さいので、無理だなぁ(爆)。
春さん、デンマークへ旅されていたのですね!
いいなあ!!お帰りなさい!!
こちらの教会、すごくすごく素敵。
しまとかげさん
なんとか体調も崩さず乗り切りましたが、ヨーロッパまで行くのは疲れますね。もう当分はどこにも行かないと思います(笑)。もちろん、古い友人と会って、おいしいものも食べて、珍しいところにも行って楽しかったんですけどね。
教会は異空間をつくりだすところ、外にまでしっかり気を配って、しかもナチスに占領された第二次世界大戦の真っただ中の1940年に完成したというのには驚きでした。
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