2019年12月6日金曜日

木彫のみ

昨日Yさんから、
「これからお伺いしてももいいですか?」
と電話がありました。
「持って行きたいものがあるので」
そういえば、前にHさんのところで会ったとき、そんなことを聞いたけれど、ずいぶん前のこと、何を持ってきてくださろうとしているのか、すっかり忘れていました。


Yさんは、大きな箱を抱えて現れました。
そうだった!
ずいぶん前に買ったけれど使わなかったという、ノミをくださるのでした。


それは、大工用のノミではなくて木彫用のノミでした。
初めて見るノミもありました。彫刻刀をノミにしたようなものです。

じつは私の道具籠には、いつも彫刻刀が入っています。平たいノミだけでうまく穴を開けることができないとき、随所でその彫刻刀を使っています。
ところが、つい彫刻刀のお尻を金づちで叩いたため、刃を埋め込んだところが割れてしまって、使いものにならなくなったことがありました。
彫刻刀はあくまでも、手で押して使うようにつくられているのです。


Yさんが帰られてから、一本一本見てみました。
わぁ、なんて便利な!平ノミですが、頭の先が曲がっています。


頭の先が曲がっている丸ノミもあります。
さて、便利そうと思いつつ、どうやって砥ぐのだという不安が頭をよぎりました。平ノミでさえ満足に砥げないのですから。


でも、腹を決めました。
自分で砥げないノミは、カンナでもノミでも砥いでくださる、水戸の中屋平治さんに砥いでいただきましょう。
そう考えると、丸い刃のノミも使おうという気が起こってきます。


でも、こんなノミは私が持っていてももったいない。
使ってみたい気もしますが、猫に小判状態です。
かつて、へらをつくる人、桶をつくる人、椀をつくる人、それぞれ鍛冶屋さんに自分の使いたい形の刃物をつくってもらって使っていたそうです。


彫刻刀では、角刀の出番はあまりありませんが、大工仕事なら穴の隅を整えるときなど、出番があるかもしれません。


切り出しのようなノミ。 これは出番がありそうです。
  

そして平ノミ。
平ノミも、大工仕事用とは、背の真ん中が尖っているところが違います。


手はじめに、ドアをつけ替えたとき、ストッパーを埋める穴を彫るときこれを使おうか?
いやいや、もう少し眺めていて、春になったらデビューしていただきましょう。
カンナといいノミといい、いただきものを使える私は、本当に幸せ者です。
もっとも、カンナはまだ使っていないけれど。






6 件のコメント:

のら さんのコメント...

うわぁ~素晴らしい!!こういうのが欲しいと以前から思っているのですが、なかなか買えません。
太っ腹なお友達を持って幸せですね。

hatto さんのコメント...

いいなぁ。我が家にもやってきて欲しいです。こんな刃物がずらっと新品で!夏に夫が蹴轆轤を欅で作ったのですが、なかなかよい刃物が見つからず。出会いの時を待たず手持ちのもので根気よく仕上げました。春さんも次の作業が楽しみですね♪

さんのコメント...

のらさん
本当に太っ腹ですよね。このセット、どれだけ値が張ったのでしょう?
ヤフオクか何かで売ったらと忠言したのですが、そんなことは好きじゃないそうです。

で、昨日もドアを反対に取りつけて、ストッパーをつけるのにドリルとノミで穴を開けたのですが(所用があって中断)、もったいなくていただいたノミは使えず、アールをつけなくてはいけないところは彫刻刀を使いました(笑)。

さんのコメント...

hattoさん
わぁ、hattoさんのだんなさま、何をつくられているのでしょう?
大工も、建具屋も、木工屋も刃物砥ぎが基本中の基本というか、明暗を分けるというか、すべてだと言い切る人もいますが、その境地に到達しないどころか、ほど遠いところにいます。
でも、よいカンナといいノミといい集まってきたので、精進せよとの天の声かもしれません。

ところで先日ラジオを聞いていたら外科医の方のお話があり、その人は大学の先生でもあったのですが若い人に教えるのが嫌いで、そんな暇があったら一例でも多く手術したくて手術ばかりしていたということでした。何故教えるのが嫌いかというと教えても無駄、外科医の腕は天性のもので、それは学んでどうかなるというものではないからだというのです。ボタンつけに例えるなら表から針を刺した穴に、手の感覚で、見ないで裏から同じ穴に針を刺し戻せない人は、どんなに精進しても外科医としてはだめだそうです。その方は食道だったかな、薄い皮膚を縫い合わせていたそうです。
そんなことを言われたら、私などはなからダメです。高校を卒業後、洋裁の学校に行った中学の同級生がいたのですが、会ったら「いま1㎝の中に18目の運針をする練習をしている」と聞いて、仰天したことがありました。私はどう頑張ってもその半分にも達しません(笑)。
大工仕事も、その程度です(爆)。

hatto さんのコメント...

外科医は確かにその通りですね。不器用な担当医に執刀されたら地獄だなあと想像します。手先が器用で学力もあり手術のセンスを持った人物がどれ程いるのか?と。学力にあわせ経済力がなければ医学部へ進むこともできずいつまでも続く組織派閥など、日本は優秀な人材を引き出せていない気がします。針仕事は目が衰え、大工仕事は体力が...と、通常ならそんな理由でやめてしまう方が大半ですがいつまでも現役でご活躍の春さんご夫妻は素晴らしいです。夫は教員を定年し在任中教えていた陶芸を自分で。その陶芸で使う轆轤や道具を手作りしてます。足で蹴ってその動力だけで回転する電気を使わない昔ながらの蹴轆轤を作って薪窯で作品を焼いてますよ。職場に夫が作った隠し扉のある机などの家具があったので定年で持ち帰り、狭い家の中は机だらけになっています。春さんのところのような広さがあればなあと。羨ましく目を細めています。笑

さんのコメント...

hattoさん
私もその話を聞いてぞっとしました。とても不器用な外科医の友人(とっくに医者をやめている)を持っているので、なおさら(笑)。
でもそのラジオの方は今81歳だったか、もう手術はできないので訪問医療をなさっているそうでした。やはり体力も気力も運動神経もとっさの判断力も要るのでしょうね。たかがアキレス腱の手術でも、出来不出来はあるよう、ましてや内臓ともなると、自信がない人にはやっていただきたくないです。

益子の浜田庄司邸の轆轤は蹴轆轤だったかしら?学生時代に訪問した備前の金重陶陽さん宅では、奥様が棒で轆轤を回していらっしゃいました。素敵でした!
hatto邸は優雅にやっていらっしゃいますね(^^♪
我が家は体力が衰えてきたけれど、ときおりワイルドにやっています(笑)。