2021年7月28日水曜日

うなぎテゴ


ずいぶん前に、水俣の井上克彦さんに「うなぎテゴ」をつくっていただきました。
その時はまだ家ができてない頃で、家の明かりにするつもりでした。
「細いですよ」
と言われたのですが、口の方に小さな電球を入れると全体が光って、並べて2つ吊るすと、とてもきれいじゃないかと思いました。
ところが、家ができてみると、そのカントリーな雰囲気から、残念ながらうなぎテゴの明かりは似合いそうにありませんでした。無理に使うと、民芸風になってしまいます。


家がモダンな場合、籠の明かりはよく似合います。
カンボジアでは食卓には、ヴェトナムの籠を使っていました。


明かりは素敵でした。


つくばに住んでいたときも、食卓には籠の明かりを、居間にはイサム・ノグチの「あかり」を、小さい置き型のと、


大きい天井から吊るすのと2つ使っていました。


紙で提灯状につくった「あかり」は、アメリカでも、東京郊外に住んでいたときも、タイでも使っていましたが、どれもモダンな家だったので、似合いました。
タイで住んでいた家は、築100年ほどの古い家でしたが、それでもモダンな雰囲気でした。


東京郊外の家では、食卓には瓢箪を使っていました。
これも、今の家には合いません。


母屋ができるまで住んでいた仮設のビニールハウスでも、籠の明かりを使っていました。


ところが、今住んでいる家では籠や瓢箪は無理、ルイスポールセンのライトを使っています。
というわけで、うなぎテゴは明かりとして使うことができませんでした。


うなぎテゴはとても細く、編みはじめの部分が特に大変そうです。


カンボジアでは、雨季に舟で行くとき、よく川岸に積み上げられたうなぎの筌(うけ)を見かけました。舟から降りたときに近くにあったら、何とか頼み込んで分けてもらいたいと思いながら、手に入れたのは、川エビの筌だけでした。もっとも、いつも仕事で訪ねていたので、そうそう筌を集めることにうつつを抜かしてはいられなかったのですが。
左はタイのブリラムのパンさんのつくったうなぎの筌、先は紐で縛って使います。


かくして、水俣のうなぎテゴは、明かりとして使われることなく、漁具の棚に収まっています。






 

4 件のコメント:

af さんのコメント...

家の雰囲気と灯りの相性って、難しいんですね・・・。
モダン+籠⇒工芸 
カントリー+籠⇒民芸

うちは夫がとにかく明るいのが好きで、こないだもリビングの照明が壊れたら、部屋がビッカビカに青白くなる照明を買ってきて、自慢げでした;;私が文句を言おうとしたら、段階照明や昼光色風にもできると、早速、防御してきました。
早く照明を回復させるほうが大切だったので、今は黙っています。(笑)

ところで、うなぎのテゴって何かなって思ったのですが、形状から、うなぎがそこに入ってくるのでしょうか。
今年の建築士の製図課題が発表されたのですが、なんと、『集合住宅』。
RCスパンで区切るので、「こんな部屋、絶対やだなぁ・・」っていう、うなぎのテゴを想起させるような短長辺比の大きい部屋区切り(間仕切り壁)をひたすらに書く作業をしています。こんなのしかないのかなぁ。。。って思って検索したのですが、ほとんど、経済性重視で、スパン割に押し切られた図面ばかり出てきます。
前に駿介先生が、こんなのあるよって、教えてくださった郊外の素敵な集合住宅、あれはどこだったか・・・

さんのコメント...

akemifさん
照明、大切です。北欧の人は概して、とっても使い方が上手ですね。
昔の民家をリフォームしたり移築した家などで、天井の真ん中から和風な照明器具を吊るしているのを見ると、残念だなぁと思ってしまいます。あれを、床に置く照明(それこそイサム・ノグチなど)にしたら、どんなにか素敵に見えることでしょう。
うなぎテゴとはうなぎの筌、川に仕掛ける漁具です。うなぎはあんなところに入るのが好きなのですね(笑)。蛸壺と同じようなものでしょうか。

集合住宅でわりといいなと言ったのは、洞峰公園の反対側の住宅だと思います。知人がその一室で服屋をやっていたので中に入ったことがありますが、なかなかよくできていました。日本で一番いいなぁと思ったのは神奈川県の青葉台の集合住宅です。そちらは、ちょっと探してみたのですが、ちょっとわかりませんでした。どちらも低層住宅だったので、周りに高い建物が建ったりすると、OUTです。
デンマークでは、車の窓からアアルトの低層集合住宅をちらっと見ましたが、レンガを積んだ壁で超素敵、そこだけ違う空気が流れていました。あとでいろいろ探しましたが、本などにも載っていないし、幻だった気もします(笑)。
低層高層の組み合わせだったら、アメリカのピーバディーテラス、素適でしたよ。

af さんのコメント...

集合住宅について、ありがとうございます!
早速調べてみました。実際の試験では、基本的でシンプルな形状にするとは思うのですが、とにかく多くの事例を見ておくことで、困ったときの引き出しになるかなぁとか、せっかくやるんだから、この際、いいものを知っておこうとか欲張ってます。脳みそのキャパが小さいので入りきらないのですけど・・・。
子どものころ、竹園のメゾネット住宅に住んでいたのですが、親に内緒で屋上沿いに友達と夜の密会を楽しんでいたのを思い出しました。親に内緒で・・・あの、ドキドキはどこへ行ってしまったんだろう(笑)

さんのコメント...

akemifさん
そういえば、竹園も私たちが住んでいた松代も、集合住宅としてはなかなかのものでした。彫刻家の篠田守男も、本で見ると、いっとき松代の、私たちが住んでいたのと同じ家に住んでいて、デザインとしては気に入ったようだったけれど、「近所の婆さんたちがうるさいから」と一戸建てに引っ越ししています(笑)。
カンボジアで住んでいたアパートはワンルーム。まったく同じつくりのアパートで4LDKの部屋も見ましたが、爽快さが全然違いました。
うなぎの寝床も工夫次第ですね。夫がガーナにいたとき、教員用の集合住宅を設計していて、うなぎの寝床形の家が前後にずれて5つばかりつながっているのですが、20年ほどして訪れる機会があって行ったら、できていたそうです(笑)。
熱帯も昔はクーラーなしだったけれど、今はガンガン使っているのでしょうね。設計も変わってきそうです。