骨董市で水屋さんが持っていた帽子です。
棕櫚で編んだ、雪除けの帽子、マタギの人たちが山に入るとき被ったものです。
帽子のてっぺんで、棕櫚の繊維のかたまりを、平織りのように組み合わせ、
繊維を小分けして、途中で足しながら、黒い紐をからませて編んでいます。
黒い紐も、棕櫚でしょうか。
そして、頭が隠れるほど編んだら、別の棕櫚を足して、肩に雪がかからないよう密に、棕櫚の「房」をたらしています。
美しい仕事には、ほれぼれと見入ってしまいます。
顔の上に当たる部分には、棕櫚の房を逆さに向けて編みつけてあります。
頭上に落ちた雪が、顔に落ちてこないよう、工夫されているのです。
内側には藍木綿で裏打ちしてあります。
綿の入った紐を両脇にたらし、あごの下でそれを結びつけます。
しんしんと雪の降る夜の囲炉裏端で、男性が帽子を編み、それに女性が裏をつけていたのでしょうか?
もう、永遠に消え去った光景です。
籠の上に、漁の浮きを置いて、帽子を被せてみました。
これを被って、険しい雪の山の中を、藁沓でさっくさっくと熊を追って歩を進める男たちの姿が見えるようです。
ネット検索してみると、マタギにもいろいろな帽子があったようです。
越後三面(みおもて)の帽子は、こんなでした。
そして、秋田阿仁の帽子は、やはり棕櫚でできているようですが、形が違います。
いずれにしても、雪山の中で動きやすい服装が選ばれたのでしょう。
映画、『越後奥三面 山に生かされた日々』を見たとき、雪が降り積もった山に熊を追っていく男たちが、
「やっぱり、雪はええなぁ」
とつぶやいていたのを思い出します。
それにしても猫のトラ、追っても追っても舞い戻って乗り、最後にはとうとう叱られてしまいました。
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