膨大な数があるようなので、積極的にのぞいて見る気も暇もありませんが、ときおり、何かの拍子に、偶然目に入ってくる絵葉書があります。そして、そんなものの中には、なかなか面白い情報が含まれていたりします。
紙ものは整理の仕方が難しいし、額縁に入れて飾る場所はないし、欲しいような絵葉書は値も張るしで、もっぱらかいま見せていただくだけですが。
気になった絵葉書の一つ、「現代美人風俗」シリーズの中の一枚です。
料理屋さんか旅館の女将さんのようですが、長火鉢、裾の広がった端広鉄瓶(熱効率がいい)、長キセル、床の間の燭台など、見るべきものがたくさんあり、もちろん、一番目につくのは招き猫です。
確か説明に、絵葉書がつくられたおよその時代も記載されていたかと思いますが、ずいぶん前のことで忘れてしまいました。「現代美人風俗」ですから、古い時代を思い起こして描いたのではなく、そのままの時代を描いたもの、髪型からして明治末から大正あたりと思われます。
いったい「どこの招き猫」でしょう?
白猫ではなくて白黒猫なのが気になりますが、珍しい右手挙げなので、豪徳寺の招き猫の可能性があります。
そして、この招き猫にも似ています。
さて、これは日本の絵葉書ではなく、フランスの絵葉書ですが、見たことのない昔の建設現場の様子を垣間見ることができます。
ノミを使っている大工さんは、器用に材を足で抑えています。私がこんなことをしたら、背中は痛いし、脚がつってしまいます。
かんなを使っている大工さんの、材の立て方や、膝を伸ばした脚の踏ん張り方も面白い。手斧(ちょうな)を使っている大工さんは、木を削っているのではなく、木の皮をむいているようです。
もちろん、一目でわかる構図に大工さんたちを集めた、「やらせ」写真だと思われますが、情報量がいっぱいで楽しめます。後ろの紐で絡めてぶら下げたような板は何でしょう?こうやって乾かしているのでしょうか?
当時の大工さんは、道具は道具箱に収めて、その道具箱を担いで仕事場に行ったはずですが、ここでは道具を見せるためにか、後ろの板の壁に、何本もの鋸、木か竹でできた曲尺(かねじゃく)、穴開けドリルなど掛けてあります。
ところで、床にはなぜ、木の皮のようなものが敷き詰めてあるのでしょう?大切な材や道具に土をつけたりしないように、わざわざ敷き詰めてあるのでしょうか?
興味津々です。
中国の飴屋さん |
追記:
昭ちゃんが写真を送ってくれました。
本の一ページらしいけれど、これも、もとはと言えば絵葉書でしょうか?
そうそう、大工さんはこの姿で仕事場に行きました。いなせです。
パッチは履いていないので、こちらは暑い時期の姿だと思われます。
昭ちゃん、ありがとうございました。
4 件のコメント:
春姐さん紙物は面白いですね、
特に幕末物は外にセットを作り室内の描写にしたのも多いです。
招き猫や襟足でそれと解ります。
京橋の母の伯母が昭和初期にこんな風情でした。
私は灰ならしが面白くて遊んでいました。
戦後長火鉢はG,I,のお偉いさんが買占め逆輸入の状態だったとか、
聞きました。
大工さん「ぢょうな」を使って皮を剥いています。
昭ちゃん
長火鉢、今でも骨董市で時々見かけますが、ほんとよくできていますね。私がその時代の外国人だったら、重いのもものともせず手に入れて、苦労しながら運んだに違いありません(笑)。
でも、関西以西にも長火鉢はあったのかなぁ?小さいころは瀬戸物の火鉢しか知りませんでした。
親戚のおばあちゃんたち(父の妹の姑さんとそのお母さん)は、母子で火鉢の脇に座って、優雅にキセルを使っていました。おじいちゃんたちはキセルは使ってなかったような(笑)。
前にも話したことがありますが、その家では、以前紡績工場をやっていたので大きなお風呂がありました。私が知っているころはもう叔父が医者で、おじいちゃんのやっていた工場は閉めていましたが、お風呂に効率よく入るためか、訪ねて行った祖母や私も一緒に、みんなで入りました(^^♪のんびりとした、いい時代でしたね。
送ってから濁音に気付きました。
「写された幕末・アソカ書房」よりの転写です。
昭ちゃん
想像ですが、この大工さんがいたあたり(江戸だと思うけれど)、道具箱は薄い方がかっこよかったのかもしれませんね。薄い、薄い、超薄い!
大工見習は、まず自分の道具箱をつくることから始めたと言いますが、最初からかっこつけた道具箱をつくっていたら、棟梁や兄弟子に、「腕もないくせに」とどやされると思うので、見たところこの人はもう一人前の大工さんでしょう。
槍鉋も入っていたのかな?手の道具一つで何でも作っていたのだから、素晴らしいです(^^♪
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