なだらかに起伏し、山には赤松が植えてある山里の景色をさらに彩っていたのは、茅葺き屋根を覆ったトタン屋根の家々でした。
どの屋根にも棟飾りがあるのですが、まるで棟にミニチュアの家をつくって乗せたような、かわいらしさです。
カンボジアの集落の入口に建つ、「村の門」の飾りを思い出しました。
それをさらに素敵なものにしているのが、ヨーロッパスタイルを取り入れたかと錯覚する、納屋の屋根です。
この写真に見える二軒の母屋は、茅葺の屋根を覆ったのではなく、最初からトタン屋根としてつくったものなので、茅葺き屋根に乗せるような棟飾りは乗っていません。
屋根の途中から勾配がきつくなり、軒近くで再びなだらかになる屋根の納屋は、水沢あたりだけでなく、広範囲に見られました。
でも、茅葺きにトタンをかぶせた屋根の、独特な屋根飾りは、水沢周辺と遠野への道の途中までだけで、帰路は高速を通って花巻に出てみましたが、一軒も見ませんでした。
「人工物の風景への影響は大きいなぁ」
と夫。
そうそう、だから家だけ個性的につくるのではダメで、その地域や風景に溶け込み、風景を邪魔しないだけでなく、風景をもっと好ましいものにするような家をつくったら、住む人はきっと楽しい気持ちで暮らせる、そんな見本のような家々でした。
家を楽しむ。
そうすれば、道行く人々の気持ちもまた、楽しいものになります。
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