2020年2月14日金曜日

八郷の風景


久しぶりの道を走ってたら、茅葺き屋根を葺き替えた家が目に留まりました。
「わぁぁ!」
葺き替えたばかりの茅葺き屋根は、燦然と輝きます。
最近八郷では、百年以上続いた茅葺き屋根の家をとり壊しているのが目立ちます。そんな中、続けてくれてありがとうと言いたい気持ちです。
嬉しくなって車を停めて、見とれてしまいました。


本当は、声をかけて写真を撮らしてもらえばいいのだけれど、人影が見えないのをいいことに、門からのぞいて、勝手に撮らしてもらってしまいました。


望遠レンズのついたカメラを持っていなかったので、写せませんでしたが、棟は「筑波流、キリトビ」というやり方で仕上げてあります。

キリトビ

『日本茅葺き紀行』(日本茅葺き文化協会編、安藤邦廣、上野弥智代著、農文協発行、2019年)の写真をお借りしました。
この家のキリトビは、この写真とほぼ同じで、「水」という字を配して、火伏の祈りを込めているものです。

竹簾の子で棟を巻いて、根元を縄できつく締め上げる(2006年)

棟をつくっている写真も、『日本茅葺き紀行』からお借りしました。
棟の小口に稲わらを積み、杉皮を被せ、さらに竹簾で巻いて棟をつくり、切り口に竹の小口や稲わらをはさみ、鋏で彫りこんで模様をつくります。


茅は、『日本茅葺き紀行』の著者の安藤さんや上野さんを中心とした、「やさと茅葺屋根保存会」のメンバーとボランティアの皆さんで刈り集められたものでしょう。
これだけの茅を集めようとすれば、どれだけの手間がかかったことか、南面全部と東西面は半分だけ新しく葺いていて、北面と東西面の半分は次の機会に譲っています。
それでも不自然さはありません。


1年もすれば色も馴染みむことでしょう。


『日本茅葺き紀行』に掲載されている茅葺きの家は、すでにたくさん失われています。
かつては集落総出で茅を調達し、屋根を葺くときは集落総出で茅葺き職人さんの下働きをしましたが、それがかなわなくなっているからです。






13 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

 姐さん
色々な面で手のかかることは次期世代がさっさとモダンな方向に改良し住んでいる時代に
珍しいですね、美しい! !
近所にも二軒ありますが時間の問題でしょー 煙の出口は「水」と書いてあります。

rei さんのコメント...

安藤先生はかつての恩師です。20数年前に著書「茅葺きの民俗学」が建築学会賞奨励賞を受賞しましたが、それまでに何台かの車を潰した?程全国を調査して回ったとの事。木造建築も長年のテーマで、正倉院の校倉造りを応用した「板倉工法」を提唱、東日本大震災後の復興住宅などでも実践していらっしゃいます。
茅葺の材料は、筑波の幾つかの研究所の敷地内で刈ったものも含まれています。

昭ちゃん さんのコメント...

友人が大きな瓦ぶきの家に夫婦で住んでいますが冬は寒く夏は暑いそうです
その点カヤは優れています。

さんのコメント...

昭ちゃん
そうそう、効率とか経済の問題を度外視して美しいものを守る、素敵な生き方ですよね。それを、受け取ろうとする次世代も立派です。
昨年は茅葺き屋根の家の象徴的だった家が壊されました(まだ見に行ってはいないけれど)。時代の流れとは言え、寂しいです。
筑波流の棟の小口のキリトビは、色を塗った篠竹などいろいろなもので表現しますが、松竹梅模様などもあります。肉眼では見難い高いところにありますが、とっても豪華です。
茅葺きも、煙出しのところから空が見える家は寒いですよ(笑)。その通気性が屋根を長持ちさせるのですけどね。

追伸:明日、昭ちゃんから送っていただいた炭焼きの写真をUPしますね。

hiyoco さんのコメント...

美しいの一言です。葺き替えを市町村の建物ではなく個人の家でするなんて驚き。
屋根の一番上のところを「棟」というのですね。だから棟上げ式なんだ!納得しました(笑)。
蒲鉾の切り口のような部分にいろいろ凝った細工をするのですね。茅葺屋根を見る機会があれば注目してみます!

さんのコメント...

reiさん
芸専のご卒業だったのですね。私も安藤さんは35年くらい前から存じ上げています(古い!笑)。
この屋根を葺き替えた家の北側にある家も、『茅葺きの民俗学』(だったかな?)には、素敵な茅葺き屋根の家として写真が載っていますが、私たちが八郷に来たときには、すでに瓦屋根になっていました。
茅葺きが消えて一番残念に思っているのは、安藤さんや上野さんだと思います。

我が家の母屋も、建前のときに板倉にする方法ではありませんが、板倉づくりになっています。しかも構造材として隠さず、見えるようにつくってありますよ(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
茅(ススキやヨシ)を集めるのに人手がいるので、葺き替えは高くつきますが、みんなで茅を刈って集めて、結みたいに代わりばんこにやっていけば、少しは安くできます。それでも、瓦屋根にすればかからない費用が、20年ごとに500万円もかかったりすれば、自分の代でおしまいにしようと決心する人がいても、仕方のないことです。
この、棟の小口の仕上げ方、キリトビは筑波山周辺の独特の仕上げ方なので、ほかの地域では見られないと思います(笑)。
1970年代に多摩地域に住んでいたころ、あの辺りにも立派な茅葺き屋根の家が点々と残っていました。今ではまったく消えてしまいました。見直される時代はきっと来ると思いますが。

kuskus さんのコメント...

フルーツラインの道路から見える家ですよね?
普通に車を走らせていて、あそこだけパッと光が当たったように明るく見えるんですよね。
新しく吹きかえられた茅葺き屋根の美しさに、思わずよそ見運転をしてしまいます。
葺き替えの作業は時間がかかったんだと思いますが、私が気づいたのはもう全体が新しくなっていて、
暮れの頃には男の人が一人で屋根の上で作業されてるのを何度か見かけました。
緩やかなカーブや軒先のキリッとしたエッジが美しいですねー。

af さんのコメント...

青空とのコントラストに、目が釘付けになりました。
半分だけ改修というのもあるんですね。凄いなぁ…

さんのコメント...

kuskusさん
あの家が葺き替えているという話はどこかで聞いたような、でもあの道を通らないので気づきませんでした。
本当に、きっらきらに光っています。新しい茅葺きは美しいですね。
葺き替えているときに見ればよかったのに、残念でした。
フルーツラインは長いので、どこへ行くにもたいてい近道してしまい、あの家はちょうど通らないところにあります(笑)。

上青柳のKさんのおうちも、壊すらしいときいたのが去年の夏、壊し始めたと聞いたのが秋、そちらの方は残念で見に行けていません。

さんのコメント...

akemifujimaさん
このあたりの家の屋根は大きいので、二分の一だけでなく、一面だけとか二面だけ葺き替える場合もあります。そっちの方が多いでしょうか。
この家の場合、棟を新しくしているので、北側も上の方だけは葺き替えているようですね。
昔は母屋の二階に茅を貯めましたが、上げるのも降ろすのも大変、今はやる家はないと思います。それで、納屋や庭に屋根を掛けて貯めると、そこいらじゅう茅の束だらけになります。
家中茅に埋もれているように見えて、屋根の小さい面(三角の面)一面を葺くとなくなる感じ、すごくたくさんの茅が要ります。

昭ちゃん さんのコメント...

姐さん炭窯のアップはコメントをいれますので
少しづつお願いいたします。
木炭の必要性からなので楽しみです。

さんのコメント...

昭ちゃん
出かけていたので、UPが遅くなりました。
ちょっとずつじゃないよ!いっぺんにだよ(笑)。