2023年1月15日日曜日

揃った、ゲド戦記単行本

岩波書店から出ている「ゲド戦記」シリーズには、単行本版、単行本ソフトカバー版、岩波少年文庫版、物語コレクション版などがありますが、私は「物語コレクション」版で読みました。


それより前に、息子の持っていた単行本の『ゲド戦記外伝』(ル・グウィン著、清水真砂子訳、1976年)を読んでみようとしたことがありました。ところが本編をまったく読んでなかったので、何が何やらさっぱりで、読み進むことができず、そのことを長男に話したら、
「そりゃそうだろうな」
と言われたことがあり、「物語コレクション」版を買って読んだのでした。

本にまみれていた長男が、東京の郊外の家から都心の狭いアパートに移ったとき、手放した本やその他のものを我が家に引き取ってきました。その時はまだ母屋ができてなくて、私たちの荷物は、斜面にコンクリートでつくった母屋の居間の床下の半地下室に押し込められていて、さらに息子の荷物となると置き場もなく、倉庫にしていたビニールハウスの中に積み上げたり、単管パイプを組んでその上に置き、ビニールシートを掛けたりして置く以外ありませんでした。
母屋ができてから、それらをやっとのことで安全な場所に移したり処分したりすることができたのですが、たくさんの本が雨や湿気などで失われてしまいました。
もっとも、息子は手放したのだし、私としてはプライオリティーをつけて保管していたので、後悔はありませんでしたが。

さて、母屋に入居して、落ち着いてから息子の蔵書を手に取り、面白そうな物語や漫画、特に息子が入れ込んでいた作家のものなどは保管して、あとは古本屋さんに引き取ってもらいました。手塚治虫の『ブラックジャック』など、欠けてしまった巻を買いそろえたりして、私の本棚の脇に居場所を得た本たちもありました。



「ゲド戦記」シリーズの単行本は、『ゲド戦記外伝』以外にも見つかりましたが、第1巻の『影との戦い』だけが見当たりませんでした。
扉のある収納の中にも本を押し込んでいたので、どこかに紛れているかもしれないと、ずっとそのままにしていましたが、1冊だけ欠けていることが気にはなっていました。
そのため、ときおり思い出したように古本がネットで手に入るかどうかチェックしていましたが、後から出版された「物語コレクション」版などは簡単に手に入りますが、単行本は長く取り扱われていませんでした。
それがこのところ、『ゲド戦記外伝』を含めない単行本5冊セットとか、6冊すべて揃ったセットなどを見かけるようになりました。6冊セットは値が張るものの、5冊セットは高くありません。仕方がない、セットで買って、重複した本はどこかに寄付してもと思ったりしてぐずぐずしていたら、今年になって『影との戦い』が1冊だけばらで売られているのを見つけました。


もちろんすぐ買いました。
それまで、息子の本は開けてみることもなく、本棚に並べていたのですが、改めて手に取ってみると、単行本には表紙絵もあれば挿絵もあります。ときに挿絵は想像力を妨げることもありますが、よい挿絵なら、かえって想像力を補ってくれます。
その表紙絵が、珍しいことにシリーズなのに不揃いです。
『影との戦い』(原書の初版は1968年)の挿絵はルース・ロビンス、『壊れた腕輪』(同1971年)、『さいはての島へ』(同1972年)の表紙絵はルース・ロビンス、挿絵はゲイル・ギャラティ、版画風な絵です。
そして、『帰還、ゲド戦記最後の書』(原書の初版は1990年)の表紙絵と地図はマーガレット・チョドス=アーヴィン、『アースシーの風』(同2001年)と『ゲド戦記外伝』(同2001年)の表紙画はデイビッド・ワイヤット、具象的な絵です。


表紙絵や挿絵が不揃いなのは、物語が完結までに30年の月日を費やしているので、そのせいかもしれません。
ちなみに、現行の原書を見てみると、これまた全然別の絵で飾られています。

よい表紙絵や挿絵は嬉しいものですが、映像となると、頭の中につくった世界を壊されてしまうことがあります。この先、『ゲド戦記』の映画を見ることがあるかないかと問われれば、見ることはないと思います。






0 件のコメント: